標記のような質問を、ときどき受けることがあります。
弁護士への依頼をお考えの方は、当然、当該事件について、自分にとって最善の結果を求めておられることでしょう。したがって、本当に「(弁護士なら)誰に頼んでも同じ」結果が得られるなら、たとえばご自宅や勤務先に近いなど、ご自分にとってアクセスのよい弁護士を探したいとのご希望があって、上記のようなご質問になるのでしょう。
弁護士が国家の資格審査と法曹教育を経て与えられる資格であることを考えれば、当然、「弁護士」という職業に期待される内容についても、少なくとも一定程度は、国家により担保されていることとなります。
したがって、「ある一定程度の結果」に関する限り、「弁護士」である者に依頼した内容については、それほど変わらない結果が期待できる、というのは、一般的抽象的にいえば、真であるといえます。
ただし、弁護士によっては、得意な分野と普段それほど扱わない分野があることも確かです。また、弁護士も人間ですので、依頼者の方と密にコミュニケーションがとれる案件については取り組みやすく、そうでない案件についてはなかなか取り組みづらい、という側面があることは確かです。
ですので、仮に知り合いに弁護士が全くいない、という場合には、弁護士会の法律相談に行って適任と思われる弁護士を紹介してもらうなどで弁護士に依頼することが考えられます。また、最近は、ホームページを開設している法律事務所・弁護士も多くありますので、ホームページに記載されている内容の限りで、いろいろな弁護士を比較検討することも可能となっています。もちろん、知り合いに弁護士がおられる場合には、その弁護士に相談して、その弁護士に受けてもらうなり、適当な他の弁護士を紹介してもらうなりすることができるでしょう。
ただ、個人的には、いわゆる「専門分野」のみで弁護士を選ぶというよりも、実際に面談して話をしてみて、自分の話をよくきいてくれる弁護士、コミュニケーションのとりやすい弁護士に依頼することが、よい解決を導くポイントかと思われます。
弁護士報酬については、法律事務所や弁護士によって若干異なることがありますが、いずれにしても、初回の法律相談料については、前もって教えてくれることがほとんどです。相談料について疑問があれば率直に相談し、事前に確認してから相談ないし依頼するのがよいでしょう。
まとめますと、「弁護士なら誰に頼んでも同じか?」という質問については、「抽象的にはそのとおりだが、実際には弁護士の個性があるので、疑問があれば複数の弁護士に相談して、一番コミュニケーションのとりやすい弁護士に依頼するのが望ましい」という回答になりましょうか。また、事件の解決については、依頼者の方と弁護士との共同作業という側面も大きいですので、弁護士とよく連絡・連携をとることが望ましいです。
弁護士 吉村亮子