1 タイ人の労働者気質
タイ人は、個人的につきあっていると、日本人と同様にウエットなところがありますが、労働者気質は、むしろ欧米に近いと考えた方がいいかもしれません。
どの点が、欧米人に近いかというと、仕事に関してはドライで、転職は日常茶飯です。タイ人は、仕事のやりがいや給料を重視するので、高給のオファーがあると、すぐに引き抜かれてしまいます。なので、優秀な人ほど転職を繰り返している印象があります。
日本も最近はそうでもなくなってきましたが、かつては転職には、どこかネガティブなイメージがあったと思います。仕事が続かない人、問題があって肩たたきされた人、クビになった人等といったイメージが強かったですよね。
その理由は、日本の終身雇用体制があって、これを前提にすると、労働者は、就職から定年退職するまでひとつの会社で勤め上げるのが原則になります。まともな人であれば、会社を辞めないという原則。転職組は、この原則から逸脱するので、異端視されていたわけですね。
でも、タイでは、そもそも終身雇用制を前提にした労働慣行がありませんので、転職にネガティブなイメージが初めからないわけです。タイ人自身の国民性は、さすがにアジア人だけあって、欧米人よりも日本人に近いと思います。
しかし、仕事に関しては決してそうではないということを頭の片隅に入れて雇用する必要があります。
2 タイ人の給料の相場
タイ人を雇用する場合、気になるのは給料だと思いますが、高学歴で優秀な人材であっても、日本と比べるとかなり安いと思います。その理由は、別にタイ人がみんな安月給に甘んじているというわけではなく、日本の円の強さです。専門的に言うと実質為替レート(購買力レート)の違い、簡単に言えば、物価が安いということです。給料は労働力購入の対価ですから、その国の物価水準と関連するのは当然です。
では、具体的にどのくらいの給料を支払えば、タイ人を雇用できるのでしょうか。
一般的に言って、大卒の新卒であれば、月額約1万バーツ~1万5000バーツ、日本円で月額約3万円~4万5000円です。
高卒以下であれば、月額約5000バーツ~7000バーツで確保できます。日本円だとだいたい月額1万5000円~2万5000円といったところでしょうか。
※もちろん、為替相場の変動で変わりますのでご注意ください。
これが日本円の強さですよ。
ちなみに、外国語が堪能なタイ人の相場は、上記大学新卒者の給料よりもさらに高額化します。
月額2万バーツ以上(日本円で6万円以上)を予定しておいたほうがいいと思います。
タイでは英語が堪能な高学歴社はけっこう多く、一流大学出身者であれば、そこそこの英語は喋れると考えてよいと思います。驚くほど流暢な英語を話せるタイ人も決して珍しくありません。
お薦めの大学は、チュラローンコン大学とタマサート大学。この両大学は、王立大学(日本の国立大学)のトップ校で、かなりの学生が英語に堪能です。平均的英語力は、間違いなく東大よりも上です。
カセサート大学も難関校で有名ですので、お薦めです。
また、私立だとアサンプション大学が有名です。ここは、タイのミッション系大学なのですが、日本のミッション系大学である上智大学、青山学院大学、立教大学、同志社大学よりも語学力では、はるかに上だと私は思ってます。なぜかというと、この大学では全学部・全てのクラスが英語で行われるからです。タイ国内にして留学したようなものです。
上記のいずれの大学もバンコク市内にあります。
最後に、英語ができるタイ人は比較的多いのですが、日本語が上手なタイ人は極めて少ない、希少価値だと思ってください。仕事で日本語を自由に使いこなせるタイ人を見つけるのは至難のわざです。