1 注目された選挙区
今回の選挙では、いくつか注目すべき話題の選挙区がありました。おもいろい結果が出たので、思うところを記します。
まず、神奈川11区。ここでは、小泉元首相のせがれ(二男、進次郎)と民主党新人の若手弁護士が出馬していました。私は、いわゆる二世議員が嫌いなので、若手弁護士を応援していましたが、残念ながら小泉さんのせがれ当選しました。民主党の追い風も、さすがの小泉人気を覆すことはできませんでした。
次は、長崎2区です。この選挙区では、薬害被害者の福田衣里子さんが、久間章生・元防衛大臣を破りました。久間さんは、長崎への原爆投下を「仕方がなかった」と問題発言した人でも有名です。この発言がやっぱり影響しているのでしょうか。それとも、専ら民主党の追い風のお陰なのでしょうか。
さらに、東京12区。この選挙区では、民主党新人の青木愛さんが、公明党の大田代表を落選に追い込みました。これも凄いですよね。大田さんは、一応連立与党の一角である公明党のトップですから。ここでも大物議員の落選です。
小池百合子さんも東京10区で落選しました。当選したのは、民主党新人の女性候補者です。もっとも、小池さんは比例区で復活当選です。
与謝野肇・元財務大臣も東京1区で落選です。民主党の海江田万里さんが当選しました。
まだまだ続きます。自民党の海部・元首相、山崎拓・元幹事長、中川昭一・前財務大臣などの大物議員も落選です。
このように、大臣クラスの大物議員が続々落選した選挙結果でした。ちなみに、公明党は選挙区で全敗です。
2 あくまでも個人的な分析
今回の選挙では、いろいろ学びがありました。
第1に、浮動票の影響力とダイナミックさです。前回の選挙では、小泉フィーバーで大量の小泉チルドレンが誕生したと思ったら、今度は、民主党の圧勝で、3分の2以上の議席を確保しました。これは、裏返すと、いつでも民主党も政権を失うということですよね。民主党の支持も極めて不安定だということです。
第2に、前回の小泉フィーバー時との大きな違い。前回の選挙では、小泉さんがカリスマ的リーダーとして選挙を戦いました。ところが、今回の民主党の鳩山さんは、小泉さんのようなリーダーだったのでしょうか?違いますよね。つまり、民主党もパッとしないわけです。それなのに、ここまで自民党が大負けしたということは、よほど国民は自民党にうんざりしているということです。そして、自民党に代わる受け皿が民主党しかなかった。それだけで、民主党が圧勝できちゃったわけです。そうすると、次回の選挙までにカリスマ的リーダーが現れて新党を立ち上げ、そこに国民の期待が集まれば、新しい政党がいきなり政権党になるなんて事態も起こりうるという気がしました。
第3に、これだけ民主党が圧勝しても、崩れなかった保守王国があるということです。それらの選挙区の自民党議員はかなりの自信を得たでしょうね。天地がひっくり返っても自分は落選しないと確信したのではないでしょうか。今後、これらの選挙区を如何にして崩していくかが民主党の課題ですね。
第4に、民主党はこれだけ圧勝したのに、あまり嬉しそうに見えないのは私だけでしょうか。テレビのニュース速報に出演していた民主党の議員やインタビューを受けた民主党の議員は、私の見たところ、誰も微笑んでいませんでした。それどころか、皆さん難しそうな表情をしてました。おそらく、かなりのプレッシャーなんでしょうね。これですよ、これ。私が求めていた政治の緊張感は!今回はたまたま勝った、自民党は大物議員を含め多くの屍をさらした、しかし、それは明日のわが身であるという恐怖も民主党は痛感したんだと思います。民主党の先生方、次回の選挙で屍をさらさないように頑張ってくださいね。
最後に、マスコミへの批判。今回の選挙で当選した民主党の新人議員たちをマスコミはさっそく、「小沢チルドレン」と呼んでいます。これは明確な誤りです。小泉チルドレンにちなんで、何か名前をつけたいんですね。また、小沢一郎さんは政党再編の時にいつもキーマンになる人ですから、マスコミとしてはこの人物を中心にして政治劇をおもしろくしたいんですね。確かに、小沢さんが選挙責任者として、いろいろな候補者を見つけてきたのは事実です。福田さんしかり、青木さんしかりです。しかし、はっきり言って、民主党の圧勝と小沢さんは無関係です。小泉チルドレンとは明らかに違います。マスコミもいい加減にマスコミのための報道はやめてほしいですね。