皆様こんにちは。お盆休みも終わり、夏も後半になってきました。今週からお休み明けという方もいらっしゃるかと思います。休み明け早々は仕事もたまりがちで忙しいことも多いですが、あと少しの夏を元気に乗り切りたいですね。

 さて、本日は、第45回総選挙の公示日になりますね。投票にあたっての判断は、マスコミ報道や各政党のマニフェストを見聞きしあるいは読んで決定される方、個々の候補者の主張等を重視される方、なんとなくイメージで決められる方など、いろいろな判断の仕方があると思います。しかし、棄権することだけはないように、お勧めしますね。いろいろな意味で重要な選挙ですので、棄権してしまうのはもったいないです。

 今日の本題は、行政事件訴訟法の見直しが行われていることとその概要のご紹介です。
 「行政事件訴訟法」とは、あまり耳慣れない法律かもしれませんが、その名のとおり「行政」が適法に行われなかった場合に、それに対して救済を申立てる際の手続きについて規定した法律です。この法律により、たとえば条例や通達が違法不当であるときに、それに対して「抗告訴訟」を提起して異議申立てができることとなっています。

 民事の訴訟ですと、当方及び相手方は公的機関の絡まない当事者同士ですので、一般の民事訴訟法で規律されます。
 これに対して、行政処分や条例・通達などについては、その性質上、発布されると同時に、対象となる不特定多数の市民に対して即時に効力を発する(いわゆる「公定力」が認められている)ことなど、通常の民事事件とは異なる特徴を有していますので、その特徴などをふまえて、民事訴訟法とは別の「行政事件訴訟法」という法律により規律されることとなっています。

 今般の行政事件訴訟法の改正で大きかったのは、以前から理論上は認められるとされていた「確認訴訟」(ある行政処分が違法であることを確認する旨裁判所が宣言できるという訴訟類型)が法律の明文で認められたことです。
 この法改正から約半年後にだされた、いわゆる「在外国民選挙権事件」(平成17年9月14日最高裁大法廷判決)の最高裁判決により、「国外に居住しているため国内に住所を有していない在外国民が、1996年10月に実施された衆議院議員選挙において投票することが認められていなかったため、国を被告として、投票権を認めないことが違憲であることの確認等」を求めた事案において、この訴えが法律上適法に認められるものであることを確認しました(この事件の第1審、第2審は、裁判所が判断すべき「法律上の争訟」に当たらないとして却下していたのを覆したものです)。

 このように、いわゆる行政事件訴訟法において「違憲・違法を確認する訴訟」が明文で認められたことから、行政事件として違法の確認を求めることがより認められやすくなったといえるでしょう。

 ちなみに、先日もTVで紹介されていましたが、戦前には、「国政選挙の無効確認訴訟」なるものが提起され、それが認められたことがあったそうですね。いったん行われてしまった選挙を無効にする・・・とすると、やり直し選挙になるのか?など、手続的に大変なこと・フォローしなければならないことも多くはなりますが、選挙の実行過程の違法性がそれだけ重大とされたもののようです。このような判決を言い渡す裁判官は、(おそらく役所の中の反対論を抑えての判断だったでしょうから)非常に勇気のある方だったんでしょうね。

 衆議院議員選挙が話題になる折から、普段はあまりなじみのないと思われる「行政事件訴訟法」についてご紹介してみました。本日は以上です。