1.結婚式関連企業、増益

 2009年7月25日付の日経新聞(夕刊)に、「結婚式は景気よく」という見出しで、結婚式関連企業の業績の好調さが大きく一面で取り上げられていました。

 同紙によると、ワタベウェディングは、来年3月期の連結営業利益が過去最高の33億円に達する見通しだそうです。
 また、結婚式場を運営するベストブライダルは、今年の12月決算で連結純利益が32億円になる見通しで、こちらも過去最高だそうです。
 婚礼衣装を取り扱うクラウディアは、今年8月の決算で連結純利益が10億円に達する見込み。こちらは、前期比2.8倍にも及び過去最高を更新中だとか。

2.結婚式関連企業、なぜ強い?

 厚生労働省の「人口動態統計」によれば、婚姻件数も婚姻率もともに減少傾向にあります。
 婚姻件数の減少は、少子高齢化により結婚する世代の人口が減少していることから説明できると思います。
 また、婚姻率の減少については、晩婚化・非婚化が大きな要因になっているのではないかと思われます。
 我が国の場合、結婚世代の人口減少に加えて、晩婚化・非婚化による婚姻率の低下もあるので、いわばダブルショックで、結婚式関連企業にとっては、決して経営環境はよいとは言えないはず…。

 それなのに、結婚式関連産業の業績のよさの原因は、結婚式件数が増加しているわけではなく、1件当たりの結婚式にかける費用の単価が上昇していることにあるようです。例えば、一軒家を貸し切って挙式する「ハウスウエディング」の増加は、結婚式にかける費用を惜しまない新婚さんの気合いを感じます。

 また、ドレスの単価も上がっているようです。クラウディアによると、ドレスの平均販売価格は、21万8000円になる見通しで、3年前よりも18%価格が上昇しているそうです。やはり、一生に一度の晴れ舞台だから気合いが入るんでしょうね。

3.どうして、結婚式の単価があがる?

 しかし、それにしても、なぜ結婚式の単価が上がるんでしょうかね。
 確かに、不況だからといって、結婚式にかける費用をけちらないのは理解できますが、従来よりもお金をかけた結婚式を挙げたがる根拠にはならないと思います。別に横ばいでもいいじゃないですか。

 私は、晩婚化と女性の社会進出の2つが大きな原因になっていると思います。
 まず、晩婚化について言うと、カップルが結婚式に費やせる金額が増加します。20代で結婚するのと、30代で結婚するのとでは、カップルの経済力が違います。しかも、晩婚化は、結婚式に招待するご友人の高齢化(笑)も意味します。だから、ご祝儀も若年で結婚する場合よりも高額化を見込めますよね。
 また、女性の社会進出は、カップルの経済力をさらに高めます。最近では、共働きは当たり前の時代になってきたと思います。私の法律事務所にも既婚者の女性が大勢働いています。いわゆる寿退職は過去のものになろうとしています。したがって、女性の経済力もアップしているので、結婚式にかなりの予算を組むことも可能になります。

 結婚式を挙げるカップルの経済力アップに加え、「一生に一度の思い出」(もっとも、最近は離婚率も上昇しているので、一生に一度かどうかは疑問もありますが、離婚を前提に結婚する人もいないと思いますから、当人たちの気持ちとしては一生に一度なんでしょうね)という重みが、結婚式へのカップルの気合いの源になっていると思います。

4.不況に強い結婚産業からの学び

 普通に考えれば、結婚式関連企業を取り巻く経営環境は、決して良いとはいえません。

 それなのに、これらの企業が軒並み好業績を上げていることから、私たちは何を学び取れるでしょうか。

・不況期でも財布のひもが緩むことがあるので、顧客の購買動機を掘り下げて分析する必要性あり。
・人口が減っても、単価が上がる場合があること。例えば、少子化により子供の人口は減少しているが、それだけ子供が大事にされるので、親が子供1人にかけるお金も増加するかもしれない。
・不況期でもお金持ちはいる。お金持ちの高級志向を刺激するような商品やサービスを提供することによって、新たな市場を開拓できるかもしれない。

 以上です。参考になれば幸いです。