1.グリーン・シート

 グリーン・シート銘柄って、ご存じですか?
 実は、非上場株式の銘柄が取引されている株式市場があるのです。
 別に、怪しい市場ではありません。日本証券業協会が考え出した制度で、実は平成9年7月にできた制度なので、この制度がスタートしてからもう10年になります。

 ご承知のとおり、資金調達には銀行などの金融機関から借り入れる間接金融と、新株や社債を発行して直接投資家から資金調達する直接金融があります。
 大企業などの上場会社は、この両方を使い分けます。
 しかし、上場されていない中小企業の資金調達方法は、間接金融に限られていました。つまり、不動産担保融資による銀行からの借り入れです。
 借り入れという資金調達のよさは、財務レバレッジが効くことです。無借金経営は、必ずしも経営効率がよいわけではありません。
 しかし、財務レバレッジは、見方を変えればハイリスク・ハイターンです。
 ひとたび経営不振になると、資金繰りを圧迫してしまいます。
 ということで、中小企業も銀行依存体質から抜け出し、市場から資金を調達できるようにしたほうがよい、というニーズがありました。

 そこで考案されたのが、グリーン・シートです。

2.グリーン・シート銘柄の種類

 グリーン・シート銘柄には、次の4種類の区分があります。

 

エマージング

 成長性を有するなどの理由により、グリーン・シート銘柄として適当だと判断された銘柄。

オーディナリー

 グリーンシート銘柄として適当だと判断された銘柄。

フェニックス

 上場廃止又は登録取消となった銘柄のうち、流動性を確保する必要があると判断された銘柄。

投信・SPC

 優先出資証券又は投資証券のうち、流動性を確保する必要性があると判断された銘柄。

 さて、ここまでくると、上場株式とは何が違うんだ、という気がしてきませんか。
 非上場株式と言っても言葉の問題で、グリーン・シートという名の証券市場に上場された株式と言えないこともありません。
 言い換えれば、上場審査の比較的緩い株式市場とみる余地もありますよね。

 そうすると、感がよい人はお分かりかと思いますが、どんな株式でも上場できるわけではなく、ちゃんと審査があり、それなりにハードルがあります。

3.グリーンシート銘柄の要件と審査

 非上場株式とは言っても、投資家にとっては投資対象となる立派な株式です。
 したがって、グリーン・シート銘柄になるためには、上場企業と同様に、有価証券報告書を提出しなければなりません。
 また、店頭取扱有価証券に該当していなければならないという要件もあります。
 さらに、監査法人や公認会計士の監査報告書に、適正又は適法である旨の意見が付されていなければなりません。

 結構大変だと思いませんか。
 まだあります。

 多くの中小企業では、株式に譲渡制限が付されているのが通常ですが、これではグリーン・シート銘柄として市場で流通させられません。
 したがって、定款を変更し、株式の譲渡制限をはずしておかなければなりません。
 どこの誰が株主になるかわからない、なんてまさに上場株式そのものですよね。

 市場である以上、当然投資家からの信頼を確保・維持する必要があります。
 したがって、

・コンプライアンス(法令遵守)を含めた社会性が認められるか(アンダー・グランドの人たちと交際があるとまずいですよ)
・適宜、財務状況を開示できるような社内体制がしっかり整備されているか。

 などといった点も審査の対象になります。

 まあ、私の解釈では、マザーズやヘラクレスほどではないにしても、グリーン・シートというプチ証券市場に上場された株式といった感じです。
 将来上場を目指している会社は、とりあえずここから、というのも目標としてよいかもしれませんね。