この点、宿泊者の請求の根拠となり得るのが、「債務不履行」です。債務不履行とは、契約上の義務に違反することであり、旅館等側が契約上、なすべき義務を怠ったことにより、宿泊者に損害が生じた場合には、旅館等側は損害賠償責任を負うことになります。
請求に応じるべきか否かは、旅館等側においていかなる義務があり、当該義務に違反しているのかを検討しなければなりません。この点、旅館業法上、直接衛生管理に関する規制は存在しないものの、条例等において衛生管理基準等が定められている例が多く見られます。例えば、害虫やネズミの発生防止のために1日1回以上は掃除をし、発生を防止する措置をとるものと明記されているものもあります。