そのため、旅館側においては、衛生基準に従って必要な措置をとる義務が存在するものと考えられます。具体的には、掃除の他にも害虫駆除業者等による定期的な害虫駆除や害虫予防等が必要となる可能性があると考えられます。

 以上からすれば、客室にゴキブリが出たから直ちに債務不履行にあたるのではなく、ゴキブリの発生防止のために必要な措置等を適切に行っていたか否かで判断が左右され得ると考えられます。

 では、旅館等が害虫の発生防止に必要な措置をとっておらず、ゴキブリが部屋に出た場合、そのまま宿泊費の返還や慰謝料の請求等に応じなければならないのでしょうか。