1.刑事裁判の当事者とは?

 刑事裁判とは、検察官によって起訴された被告人が起訴状記載の犯罪事実を犯しているのか、犯しているとしたらどの程度の量刑が妥当なのかを決める場です。
 刑事裁判の当事者は、判決を下す裁判官、犯罪事実を立証する検察官、判決を受ける被告人(弁護人)の3者しかいません。
 つまり、犯罪被害者やその遺族の方々(以下、併せて「犯罪被害者」といいます。)は、刑事裁判の当事者ではありません。

2.検察官は犯罪被害者の代弁者なのか?

 「被害者の味方=検察官」。テレビドラマの影響でこのようなイメージがあるかもしれません。しかし、検察官は、本当に犯罪被害者の代弁者なのでしょうか。
 先ほども申し上げましたが、検察官は、起訴状に記載された犯罪事実を証明することが仕事です。そのため、起訴状の立証に必要がない場合、犯罪被害者の証人申請は行わないのが通常です。
 また、仮に犯罪被害者が証人として裁判に出席しても、検察官の質問に答えるだけに留まってしまいます。

3.犯罪被害者が自身の気持ちを述べる方法は?

 上記のような背景のもと、犯罪被害者が「事件の当事者」として裁判に参加できる地位と権限を確立させるべく「犯罪被害者制度」が施行されました。
 当該制度は、犯罪被害者が裁判に出席できるのみではなく、証人尋問や被告人質問を実施したり、意見陳述を実施したりすることが可能となりました。このように当該制度によって、犯罪被害者の「事件の当事者」としての地位と権限が確立されました。

4.犯罪被害者制度における弁護士の役割とは?

 もっとも、犯罪被害者が自由に当該制度を利用し、裁判に出席して、尋問や意見陳述を行えるわけではありません。
 参加を希望する方は、事前に検察官に申出を行い、尋問事項や意見陳述の内容を検察官に明らかにしなければなりません。また、犯罪被害者の中には裁判で意見を陳述したいが、裁判所に赴くことが困難な方もいらっしゃいます。
 そこで、弁護士に委任していただき、弁護士が検察官と協議をしたり、犯罪被害者に付き添ったり、犯罪被害者の代わりに弁護士が意見陳述を行うこともできます。

5.被害者参加制度に関するご相談について

 犯罪被害者制度対象事件は、一定の重大事案に限定されています。また、当該制度を利用するうえでの各種手続き等もございます。
 当該制度の利用を検討されている方は、是非一度弁護士にご相談下さい。

6.その他の弁護士業務について

 刑事事件における弁護士業務は他にもございます。
 被害届や告訴状の作成・提出、DV夫からの接見禁止、被疑者・被告人に対する損害賠償請求等、弁護士の業務は多岐に渡ります。是非一度、弁護士にご相談下さい。