2 刑事訴訟法改正による公訴時効の延長
ところで、平成22年4月、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」が改正され、公訴時効の延長や廃止が決まりました。その内容は下記のとおりです。
当時、「殺人罪の時効廃止」というニュースを耳にしたことをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。
法定刑 | 改正前 | 改正後 | |
---|---|---|---|
1 | 「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が死刑である犯罪(例:殺人罪) | 25年 | 公訴時効なし |
2 | 「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が無期の懲役・禁錮である犯罪(例:強姦致死罪) | 15年 | 30年 |
3 | 「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が20年の懲役・禁錮である犯罪(例:傷害致死罪) | 10年 | 20年 |
4 | 「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が懲役・禁錮で、上の2・3以外の犯罪(例:自動車運転過失致死罪) | 5年又は3年 | 10年 |
3 公訴時効の延長・廃止は日本国憲法に違反しないか?
ところが、この改正法が、改正前の犯罪についても、同法の施行前に時効未完成の場合にはさかのぼって適用されると定めていたことから、この点が日本国憲法に違反するのではないかが裁判上争われました。
この点について、最高裁は、最一小判平成27年12月3日で、同改正は憲法に反するものではないとの判断を示しました。
もっとも、みなさんは何が問題となっているのかがよくわからないと思いますので、少しご説明しようと思います。