1 こんな場合も「窃盗罪」
法律の中でも刑法というのは比較的イメージがしやすいものだと思います。人を殺したら殺人罪、物を盗んだら窃盗罪など、誰もが悪いと思うことをしたら犯罪として取り締まるためのルールというイメージ通りの法律です。
しかし、わかりやすいと思われる刑法でも、初めて聞くと「えっ」と思うようなことがしばしばあります。
今回は、窃盗罪を例に挙げて話させていただきます。
さて、窃盗罪についてですが、以下に挙げるものは実はすべて窃盗罪が成立するとされている事例です。
・他人の家のコンセントに自分の家電をつないで電気を使う行為
・パチンコ屋で、不正な行為をしてパチンコを打ち、玉を出す行為
・犯罪で得た銀行のキャッシュカードを利用し、その口座に振り込まれている現金をATMで引き出す行為
どうでしょうか、「物を盗む」というイメージからはかなり離れているのではないでしょうか。
2 刑法における「窃盗罪」
窃盗罪については刑法の規定上
・他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する(刑法235条)
とされています。「財物」を「財産的価値のある物」と、「窃取」を「盗む」と読み替えれば非常にわかりやすいようにも思えます。
ただし、この「財物」や「窃取」という言葉も一筋縄ではいきません。