こんにちは、弁護士の坪井智之です。
 本日は、逮捕後起訴される以前に弁護士が行うべき弁護活動について書きます。

 そもそも、逮捕された場合、警察官で最大48時間、検察官で最大24時間の取り調べが行われ、その後勾留を行う必要があると検察官が判断した場合に、勾留の請求が行われます。そして、裁判官が勾留の必要があると判断した場合には、10日間勾留決定が出されることになります。

 通常社会人の方であれば、10日勾留されることになると会社に逮捕されていることが分かり、何らかの処分を会社で下されることになります。

 そのため、勾留の請求が認められないように弁護士が早い段階で動くことは、非常に重要です。

 しかし、国選弁護人の場合には、勾留が発せられた後にしか、選任されないため、国選弁護人の場合には勾留がされたことを前提に被疑者弁護を行うことになります。通常の社会人であればこの時点でお仕事に多大な影響が出ることは間違いありません。勾留をされないためには、私選弁護人を早い段階で依頼することが大切です。

 そして、勾留されずに身柄を解放されるために弁護士は、勾留を行わせない事、勾留の却下を求める事、勾留が行われても迅速に準抗告を行うことが重要となってきます。

 とにかく時間はありません。勾留請求が行われるまでの間に弁護士は、以下の事を行う必要があります。

 まずは、被疑者と接見を行い、事件の処理方針を打ち合わせします。次に、身柄引受書、上申書(仕事を辞めると困るというもの)、誓約書(被害者に近づかないこと)、検察官に対する意見書、裁判所に対する意見書等を作成します。被害がいる事案では被害者と示談を行います。その後、検察官に意見書を提出するとともに面談を入れて頂き、検察官の意向を聞く必要があります。最後に、

 勾留質問前に裁判官面談を入れ、事前に裁判官に知っておいてほしいことや被疑者に勾留質問で聞いて欲しいことを促します。

 上記の弁護活動を72時間で全て行う必要があり、時間との戦いです。勾留却下が取れれば、起訴されたとしても執行猶予が付けば、会社で処分されることはありません。

 私選弁護人を選任することは費用的に要しますが、会社での処分を免れる可能性を考えれば、安いものだと思います。

弁護士 坪井 智之