皆様こんにちは。弁護士の菊田です。

 本日は、付添看護費についてお話ししようと思います。

 付添看護費とは、入院、通院等の際、被害者に付添が必要と認められる場合に、被害者に発生する損害です。入院等に付き添ってもらうことは、それだけで付添人の時間を使うわけで、その分のお金は支払われるべきですし、ましてや付添人が職業付添人であれば、なおさらといえます。このような考えから、裁判所も、付添看護費を損害として認めています。

 この場合には、職業付添人の場合は実費全額、近親者付添人であれば1日につき一定額の賠償が認められます。

 ここで問題となりうるのは、

① そもそも被害者に付添が必要なのか
② 必要だとして、職業付添人まで必要なのか、それとも近親者付添人で十分なのか
③ 近親者付添人の費用はどのようにして算定するのか

という点です。

 ①及び②については、医師の意見、傷害の部位や程度、被害者の年齢等から、付添人の必要性、職業付添人の必要性が判断されます。完全看護病院で入院していたような場合には、付添の必要性がないとして、付添看護費の賠償は否定されることが多いです。また、②については、近親者付添人がどの程度被害者を看護することができるか、という点も判断要素の1つになります。例えば、被害者の母親が近親者付添人であり、母親が仕事をしていた場合には、母親が退職するまでは職業付添人が必要であるが、母親が退職して以降は職業付添人までは必要なく、近親者付添人で十分であるという判断がされる可能性があります。

 ③については、基本的には、入院付添の場合は日額6500円、通院付添費の場合には日額3300円とされています。ただし、必ずしもこの金額が損害と認められるわけではありません。例えば、裁判例では、被害者の介護のため減収が生じた場合に、その減収分またはその一部を損害そして認めたもの(大阪地方裁判所平成24年平成14年5月31日判決)等、近親者が退職、休職等した場合に、近親者の収入を基準として付添費用を算定したものがあります。

 その他には、自宅での付添費や、将来介護費も認められる可能性があります。これらの点については、今回は割愛しますが、また機会があればお話ししようと思います。

 このように、付添看護費が認められるかという点は、様々な要素が考慮されるので、「職業付添人を頼んだけど、保険会社に費用を支払ってもらえず、裁判でも認められなかった・・・」ということにもなりかねません。もし職業付添人を頼もうと思っているけど、お金が心配と考えておられる方は、1度ご相談下さい。