2 「1日あたりの営業収入」

 基本的に、事故前の3か月~1年の売上実績を保有台数で割って算出します。

 ただし、裁判例の中には、トラック協会の定める1日あたりの標準的な時間制運賃を基準として算定した例(神戸地裁平成6年10月27日判決)、大型観光バスについて、前年同時期における稼働実績に基づいて算定した例(京都地裁平成12年11月9日判決)などもあります。

 売上高の資料として適当なのは、損益明細表・輸送実績報告書です。これらの資料は、監督官庁に提出するものであり、客観性が高いものと考えられているからです。

 一般的な統計資料(国土交通省自動車局が刊行している「自動車運送事業経営指標」)を用いることも有り得ますが、被害者の現実の売上げが、当該指標に記載された営業収益に達しているとは限らないため、被害者にとって不利な認定がされる可能性があります。