今日は、私が実際に経験した事件の中で休業損害の立証について争いとなったケースについてお話ししたいと思います。

 休業損害の算定方法については、給与所得者は給与明細書等をベースとして休業損害を算定します。また、事業所得者については確定申告書の控え等を参考資料として、そもそも有職であるか、あるいは、収入額等を確定していくこととなります。

 もっとも、確定申告をみなさんが行っているわけではなく、そのような方が交通事故に遭った場合には、収入の証明を行うことが難しくなることもあります。また、相手方保険会社が資料不足を理由として休業損害の支払いを拒むこともあります。

 しかし、実際には働いて収入があり、事故によって減収しているにもかかわらず、休業損害はびた一文払えませんとの結論はあまりに不合理です。
 私が担当していた事件でも、実際に事故前には働いており、事故により休業せざるを得なくなったことは明らかであるのに、相手方保険会社が立証資料が不足していたため一切払わないという主張をすることがありました。

 しかし、あくまで立証とは、絶対にこの資料がなければ認められないとの性質のものではなく、公的資料がなければないで別の立証方法もあります。例えば、純然たる個人事業主の方であれば、電話張(ハローページ)またはインターネット掲載のホームページのコピー、店舗の写真等であったり業務委託契約書を提出する方法もあります。あるいは相手方保険会社に業務内容を調査してもらい意見書等を提出する方法等もあります。
 また、実質的には雇用と同視できるものであっても、形式上個人事業主となっている場合などには、上記同様に業務委託契約書やシフト表、あるいは勤怠を管理されている方の報告書などを作成しても良いかもしれません。

 いずれにしましても、資料がないため休業損害は認められないと相手方保険会社の言うままに従うのではなく、様々な方法から立証を行うことを検討することが可能ですので、お困りごとがございましたら、弁護士法人ALG&Associatesまでご相談いただければと思います。

弁護士 合田 恵介