こんにちは。
 今回は、物損事故に関して、中古市場が存在していない場合に、どうやって金額を算定するのかについて、説明したいと思います。

 車両が事故にあった場合、経済的全損か否かで、どこを見るべきかが変わってきます。
 経済的全損であれば、同種車両の中古車市場での価額となり、経済的全損でなければ、修理費ということになります。

 さて、修理費であれば分かりやすいのですが、問題は経済的全損の場合の評価額です。
 中古車であれば、それなりの市場が存在しており、レッドブックといった専門的な本も存在しています。

 問題は、物損だけど、車そのものではない場合。

 例えば、スノーモービルを運搬するトレーラーが事故により経済的全損となった場合、どのように評価額を出すべきでしょうか。

 まず、もちろん中古市場を探します。
 どんなものでも、中古としての売買は存在しているはずです。ただし、それが「他の場合がこの金額なのだから、今回の場合もこの金額である」と一般化できる程度の 数の取引であるとは限りません。同じ商品でも、人によってつける値段が全然違うとなると、その取引価額を前提に判断することは困難です。

 そうすると、今度はどうするべきか。
 例えば、よく使われる方法として、購入からの年数を考え、会計処理で用いられる減価償却の考え方を用いることが考えられます。
 この場合、場合によってはそれ相応の金額になることもあり、本人が納得できるのであれば、この算定方法を用いることも十分考えられます。

 しかし、それでも納得できない場合、
今度は、取引している専門業者を探します。例えば、その商品を購入したところ、など。これを見つけること自体が困難な場合もありますので、必ずしも採りうる手段というわけではありません。

 しかし、取引業者が見つかれば、取引業者そのものは、取扱件数として一般個人より専門的知見を有しているはずであり、その専門業者の判断を根拠にした交渉が可能です。
 弁護士としては、専門家の意見というのが非常に重要です。 これを書面化し、交渉相手に提示することになります。当該専門家の意見が信用できないのであれば、その旨指摘して貰い、それがなぜ信用できないのかも説明して貰います。信用できない理由が正当なこともあり、その場合はあまり重視して交渉を続けるわけにはいきませんが、信用できないとされる理由が、十分反論できるものであれば、反論を加えていきます。

 最終的には、減価償却のレベルにならざるをえないかもしれません。
 しかし、考え得る手段をいろいろと実施した後での解決と、それ以前で諦めてしまった場合の解決としてでは、自分自身の納得の度合いも異なるでしょう。

 困ったときは弁護士に相談してみると、もしかしたら別の解決策を提案できるかも知れません。お待ちしております。

弁護士 水野太樹