①大阪地判平成19年1月31日

 被害者が高校生当時、事故により脳挫傷、外傷性くも膜下出血などの傷害を負い、遷延性意識障害により寝たきりとなった事案について、てんかん発作に対する治療費、理学療法によるリハビリ及び音楽運動療法に要する費用として、症状固定時(23歳)から平均余命に達するまでの62年間分の治療費(913万3824円)を認めました。

②大阪地判平成11年3月9日

 事故により右大腿切断となった女性について、症状固定後も月二回、定期的に検査とリハビリ等の加療を受ける必要があるとして、月額4000円の治療費を、女性の平均余命までの28年間分認めました。

③名古屋高判平成2年7月25日

 被害者が、右大腿部切断の症状固定後も、義足作製のために通院を続けていたところ、切断部に瘻孔が生じたために再入院し、さらに義足作製のための通院を行ったという事例で、症状固定後の治療費を交通事故と因果関係のある損害と認めました。

④大阪地判平成12年7月24日

 事故で植物状態となり、四股麻痺、経管栄養、気管カニューレ挿入等全介助の状態にあった被害者について、症状経過を考慮すれば、症状固定後の入院期間についても部屋代は必要な費用であるとして、407万8725円の部屋代を損害と認めました。

4 まとめ

 先に書いたように、症状固定後の治療費は損害に含まれないのが原則です。しかし、それでは納得できないと考えられる被害者も多いでしょう。上記の裁判例は、そうした主張が認められた一例です。
 しかし、どのような損害項目をどのように請求していくかは、容易な問題ではありません。また、主張の仕方や証明の方法により、認められるかどうかが変わる可能性もあります。専門家の助言が必要な場面といえるでしょう。
 不幸にもこのような問題に直面されている方、また、もしかするとそのような状態になるかもしれない状況に直面されている方は、一度弁護士法人ALG&Associatesまでご相談ください。