民法882条には「相続は、死亡によって開始する。」と規定され,民法896条には「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」と規定されています。
つまり、被相続人の死亡時において、被相続人に帰属する一切の権利義務について、相続人が相続するということにとになります。

死亡時において被相続人に帰属する一切の権利義務を相続するというのは被相続人の権利義務を包括的に承継することを意味します。
被相続人が所有する不動産、動産、有価証券、現金、預貯金、貸金債権が相続財産に含まれることは容易に想像できます。また、被相続人が当事者として契約した賃借権、使用借権、営業権、著作権、特許権、実用新案権、ノウハウ等の経済的価値のあるもの、不当利得返還請求権(過払金返還請求権など)、損害賠償請求権など幅広く相続財産に含まれます。更には、売買契約の当事者としての地位や占有権といった法的地位についても承継されます。

死亡退職金や生命保険金など、死亡を原因として遺族などに支払われるものについては、被相続人に帰属するものではなく、受取人固有の権利として扱われ、相続財産ではないことになります。退職金規定や生命保険の受取人や約款を確認しないと内縁の妻など相続人以外の者が受取人になっていることがあるので注意してください。

他方、相続税が課税される財産には、相続や遺贈により相続人等に承継される財産のうち、金銭に見積もることができる経済的価値のあるもの全てが含まれるとともに、相続財産に含まれない死亡退職金や生命保険金についても「みなし相続財産」含まれます。

以上のように、相続については、どういった財産が相続されるのかということと、どういった財産に相続税が課税されるのかは少し視点を変えて調査することが重要となります。