弁護士の関です。
本日より、当事務所でも相続関係のブログを始めることになりました。よろしくお願い致します。

人生の終焉を、安らかに迎えたいと思う気持ちは、多くの人に共通のものだと思います。
また、見送る側の人間も、大切な人の最期が、苦痛なく、安らかであることを祈ります。
去りゆく者も、遺された者も、心安らかに、美しい思い出を胸に・・・というのは、ドラマのような理想ですね。

しかし、現実はそううまくは行きません。亡くなった親が、財産を持っていたはいいけれど、それを巡って子供達が争いを繰り広げる・・・、こういう例は後を絶ちません。

家族間で「相続」について問題が起こると、そこには強い感情が渦巻きます。私は、遺産分割協議や調停の代理人をつとめた経験がありますが、お客様からよく伺うのは、「(相手方である)兄弟が、これほどお金に汚い性格だとは思わなかった」「昔は素直で優しい子だったのに、遺産が絡むとこうも人間が変わるのか」「人間不信になりそう」といった嘆きです。
それほど、遺産をめぐる争いというのは、長年にわたって築かれてきた家族の絆を、いとも簡単に壊してしまいます。

私達は、弁護士として、お客様の有利になる「数字(金額)」で解決できるよう努力しますが、相続問題は、それだけではないということを、いつも痛感させられます。相続絡みの裁判で勝って、満面の笑顔でいるお客様には、これまでほとんど出会ったことがありません。
勝ちを喜ぶ感情よりも、相続に関して家族と裁判沙汰にまでなってしまったことを、辛く、残念に思う気持ちの方が、はるかに強いのです。

弁護士が、お客様のそういった感情のケアまですることはなかなか困難ですが、単なる数字だけの処理ではなく、「弁護士や裁判所が介入することにはなったけれど、そうするだけの意味はあった」と、お客様に確信していただけるようなお手伝いの仕方を心がけたいと思っています。