土地使用借権相当額についてですが、使用借権により他人所有の建物が建っているわけですから、土地の売却が困難になり、土地の価格が一定程度減価して評価されます。この減価分を、使用借権評価額相当の利益と評価し、土地を無償使用してきた相続人の特別受益として考慮される可能性があります。
ちなみに、地代相当額が特別受益であると主張されることもありますが、この主張は実務では認められないことが通常です。被相続人や相続人が、将来相続が開始したときに、無償使用期間中の地代相当額を「遺産の前渡し」にしようと考えているとはいいにくいのです。また、そもそも、特別受益は当該贈与がなければ遺産として当然あったはずの財産を問題にしていますが、当然第三者に賃貸して賃料を得ていたはずであろうということが立証されない限り、賃料相当額分の遺産があったはずだとは考えにくいのです。
個別具体的な問題を解決するには、実際にお話を伺う必要がありますので、お困りの方は是非ご相談ください。
弁護士 江森 瑠美