1.戸籍

 相続が発生し、遺産分割をする必要が生じた際には、まず相続人を確定させる作業が必要です。このとき、被相続人の戸籍を出生から死亡するまでの「すべて」の戸籍を取寄せて確認するという作業が必須となります。

2.改正原戸籍に注意

 現在の戸籍である戸籍事項全部証明書を取得しても、被相続人の離婚歴や離縁歴が記載されていないがために、実際には子供がいるにもかかわらず子供がいたことが分からないことがあります。

 なぜこのようなことが起きるかというと、法改正により新たに作られた戸籍にはその一つ前の戸籍(これを改正原戸籍といいます。)に記載されていた離婚歴や養子離縁歴などの事項が省かれてしまい、記載されないからです。そのため、例えば、離婚後に子供が被相続人ではなく相手側の戸籍に入った(相手側が親権をもった)後に法改正があった場合などは、被相続人の新しい戸籍には子供がいたことが記載されていないので、古い戸籍まで取り寄せないと被相続人に子供がいたのかどうかを確認することができないことがあるのです。

 したがって、相続人を確定させるためには、面倒でも被相続人の出生から死亡に至るまでの「すべて」の戸籍を取寄せなければならないのです。

弁護士 森 惇一