プロ野球が開幕して一月余り、日々熱戦が続き、ファンにとっては楽しい季節が(ひいきチームの調子によっては憤まんの日々が?)続いています。
私も、ひいきのチームの勝敗に一喜一憂の毎日です。

さて、その野球、テレビ観戦も楽しいですが、球場での観戦も独特の臨場感があり盛り上がります。
ところで、球場で野球を観戦する際には、観客席に飛び込んでくるボールに注意しなければなりません。当たれば大怪我となりますから。

そして、ボールがぶつかって怪我をする人が出れば、それに対する責任追及がなされることがあります。
近時では、宮城や札幌のケースがニュースになっていました。札幌は本当に最近で、地裁が賠償を命じ、球団が控訴をしていたかと思います。

野球観戦中のボール事故、なかなか難しい問題だと感じます。そもそも野球はファウルボール・ホームランボールが飛んでくる可能性を否定できませんし、観客もそれを承知で観戦に赴くものです。
それに、フィールドをネットか何かで完全に覆ってしまった場合、現地観戦の最大の醍醐味である臨場感が損なわれ、興ざめとなってしまいます。

反面、いざ怪我をした場合、「不運だった。」でなかなか割り切れるものではなく、事故の発生を防ぐ義務を尽くしていたのかを問いただしたい心情もわかります。

安全配慮義務からは、予見可能性に対し結果回避義務を尽くすことが求められます。
しかし、スポーツは興行、エンターテインメントを捨てることはできません。球場設備の具合や注意喚起の措置の有無・程度を測りながらも、客も危険を承知で来ているという一種の自己責任論も取り上げざるを得ないのではないかと感じます。
とりあえずは、札幌のケースが今後どのように判断されていくかが注目されます。

同様の話は、大相撲の砂かぶり席、プロレスのリングサイド、モータースポーツのコース脇など、いくつか考えられます。
いずれについても、安全配慮義務を取り上げながらも、「客は何を求めてきており、それに主催者が応えるには設備面でもどの程度の危険まで許容されなければならないか」という視点を除外できないのではないでしょうか。

あとは、リスクヘッジの手立てを設備にばかり求めるのではなく、保険の導入・活用など別方面から試みてみることも検討されているようです。