こんにちは。いよいよゴールデンウィークです。晴天続きになるといいですね。
さて、前回に引き続き、保全手続きについての話をしようかと思います。
保全手続きというのは、基本的に、秘密裏に行われます。というのも、何かを保全しようとする場合、その手続きを準備していることが相手方に判明してしまうと、相手方(債務者)が保全対象財産を処分(売却など)して、保全を妨害しようとするかもしれないからです。
そのため、裁判所から相手方に対して保全手続きをとったことを連絡する前に、裁判所は各関係先に保全命令に関する連絡をします。
預金が保全対象の場合なら第三債務者である銀行に保全命令の決定正本を送達することになりますし、不動産が保全対象の場合なら法務局に登記嘱託をすることになります。
そして金融機関や法務局で必要な対応をした後になってやっと、相手方への送達がなされます。
しかしながら、紛争が過熱している最中だったりすると、相手方も保全を予期して持っている財産を売却したり預金を解約したりといった対抗策をとることもあります。
そこまでの特殊な事情がなくても、普段から入出金に使っている普通預金口座を保全の対象としているケースで、普段通りの入出金をしようとすることもあり得ます。そうすると、例えば、相手方が銀行口座で入出金できず、おかしいなと思って金融機関に問い合わせたところ、実はすでに保全手続きにより当該口座の入出金が止められているということが発覚したりします。
このように、相手方(債務者)に対して保全命令の送達がなされる前に偶然、相手方が知ることもあります。
保全手続きをされた相手方は、当然、面白くないとおもいます。とくに裁判所からの送達の前に偶然知ってしまったようなケースでは、相手方への精神的ダメージは大きいのではないかと感じます。
それが紛争の激化につながることもありますので、申立人側としても少々ハラハラするところです。
保全の手続きというのは完了するまでは当事者にとって緊張を強いられるものかもしれません。