こんにちは。涼しくなってきましたね。

さて、本日は、物の引渡し・明渡しの請求の前に行う処分禁止の仮処分や占有移転禁止の仮処分の「公示」について、お話ししようと思います。

まず、「仮処分」という手続きはどういう趣旨のものかというと、例えば、「最終的な目的は、貸している土地建物を明け渡してもらうことで、訴訟をして、『土地建物を明け渡せ』という判決をもらいたい。でも、判決をもらうまで、ちょっと時間がかかる。その間に、相手が土地建物を他の人に転貸してしまったりしたら、土地建物を返してもらいにくくなる。」という心配があるときに、訴訟の前に、その土地建物について「仮に」処分を禁じたり「仮に」他の人に占有させる(使わせる)ことを禁じるものです。
もちろん、どんな場合でもできるわけではなく、それ相応の勝訴の見込みがなければなりませんし、その手続きをする必要性も必要です。

さて、このような趣旨で仮処分を実行すると、裁判所の「執行官」が保全の執行を行います。対象となる物があるところに行って、対象者に対して、保全の執行をする旨を告げて、「公示書」を対象物に貼ったり、公示書が貼ってある立札を立てたりします。

ただ、対象物について保全執行されたとしても、法的には執行官の管理下に置かれますが、債務者(対象物を明け渡したり引き渡したりする義務のある人)は、その対象物を使い続けることができます。
しかしながら、公示書を貼られた方としては、やはり、目障りなもの。はがしてしまいたくなります。
でもこの公示書は、はがしたりすると、刑法上の犯罪行為になります。これは公示書にも書いてあります。
また、はがしたりしたところで、再度、執行官が公示書を貼りに行きますので、はがすと再度執行官に対応しなければならず、何度も面倒な作業に対応しなければなりません。
対象物の使用を継続できるので、保全執行を受けた方としては、しばらく何も不利益はないはずなのですが、やはり、公示書が貼られているというのは、心理的圧迫になるようです。