こんにちは。暑い日が続きますね…。
本日は、共有物の分割についてのお話をします。
「共有」というのは、複数の人が同じ物の所有権を持っている状態のことです。例えば一つのペンを複数人で所有していたら、それも共有の状態です。ペンだったら複数の人で交代に使えばよいのですが、これがもっと大きなものになってくると、簡単にすべての共有者が同じくらい使えるというわけにはいかなくなってきます。共有状態で問題が起こりやすいのが不動産です。
例えば一つの土地とそこに建っている建物が共有状態になっているとします。一つの家族メンバーが共有していれば、みんなで同居することで、各自が同じようにその土地建物を利用できますが、同居するわけにはいかない人々の間で共有されていると、一部の人は土地建物を使えるけれど、ほかの人は事実上、使えないという問題が生じます。また、不動産の場合は、固定資産税がかかってきますので、使っていないのに税金だけは取られるという問題もありえます。こういう問題は、よく、相続で複数の相続人が共有することになった場合に生じます。
そこで共有物分割の手続きが必要になります。話し合っても解決しないなら共有物分割の訴訟によって、共有物を分割することができます。 ここで共有物の分割というのは、もちろん、物理的に分断することができるものなら「現物分割」という物理的に分ける方法で分割できますが、土地建物など、物理的に分断することができないものは、「現物分割」というわけにはいきません。
そこで取られるのが、「価格賠償」や「代金分割」の方法です。
価格賠償というのは、共有者のうちの一部の人のみにその対象物の所有権を集めてしまって、そのほかの人は、手放した価値の分だけ、金銭で賠償を受けるというものです。
代金分割は、共有物を売却して、その売却代金を共有者の間で分けるものです。
価格賠償は、所有権を得る人が、所有権を手放す人に対して、それ相応の金銭を支払わなければなりませんから、資金がある人でないとできないことです。そのため、その不動産を手放したくない場合であっても、必ずしも、その不動産を維持したまま、共有物の分割ができるとは限らないということになります。
「代金分割」、つまり売却したうえで代金を分割するということになると、いくらで売却できるかもわからない(期待したほどの額にならないことが多いです。)ので、この方法はあまり好ましくないかもしれません。しかし、共有状態の解消というのも大きな価値だと考えることができるなら、代金分割という方法になったとしても、共有物を分割したほうがよいともいえますね。