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野焼きによって損害を被った場合、一定の場合には損害賠償請求が認められうると考えられます。
ただし、相手方の野焼きが不法行為であるといえる必要があるため、事実関係をよく確認する必要があります。
また、被害を抑えるために、まずは、市役所の廃棄物対策課等に連絡してみることをお勧めします。

野焼きは一定の例外については許されている場合もある

 野焼きは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第16条の2で、原則、禁止されています。しかし、一方で、この法律は、野焼きのうち、公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの等、一定の例外については、許されるものとしています。

 この政令で決められているものとしては、風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却、農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却、たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なものなどがあげられ、このような野焼きは例外的に許されるものとされています。

許可された野焼きかどうかを確認する

 よって、今回の場合は、相手方の野焼きが、このような例外的に許されるものであるのかどうかがまず問題となります。今回の場合は、畑の関係で野焼きをしているかのようにも思えますので、農業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却にあたるかが問題となるものと考えられます。そこで、相手方の野焼きが「農業を営むために」行われたものであるか否か、「やむを得ないもの」として行われるものであるか否かを確認する必要があります。仮に、相手方の野焼きが法律によって許容されるものでないとすれば、野焼きによって被った損害の賠償を求めていくことが考えられます。

 もっとも、仮に、相手方が農業を営むために行っているものであるとしても、野焼きを行うものとしては、近隣の住民に迷惑をかけないよう、風向き・燃やす量・時間帯等に注意すべきであるとは言えますので、まずは、こちらの生活に支障が出ないように配慮すべきことを、市役所等を通じて申し入れることが考えられます。