1.ご相談内容
「私の勤めるX社は、日用雑貨等を製造・販売する会社で、現在タバコを穴に差すと自動的に火の消える灰皿を製造販売しています。
ところが、最近、弊社制灰皿によく似た灰皿をY社が製造・販売していることが判明しました。弊社では、弊社製灰皿に関する特許を出願し、登録を受けています。そこで、弊社の特許権に基づいてY社に対して権利行使をしたいのですが、どうすればよいでしょうか。」等のように、今回は、特許権を行使する際の注意点についてお話します。
2.被疑侵害品の入手
上記の事例で特許権侵害が認められる場合、X社は、Y社に対して、特許権を侵害している疑いのある商品(これを「被疑侵害品」といいます。)の製造販売の差止・廃棄請求や損害賠償請求を法律上することができますが、被疑侵害品の特定については、特許権者側が裁判で主張立証しなければなりません。
そこで、特許権者として、まずしなければならないことは、被疑侵害品(上記の例では、Y社が製造販売している灰皿)を実際に入手することです。被疑侵害品の構造を詳細に知る必要があるので、カタログやパンフレットも可能であれば入手したいところです。
ただ、被疑侵害品が一般市場に流通している製品であればよいのですが、B2Bのみで流通する製品で入手が困難な場合も多々あるかと思います。こういう場合には、ぜひ弁護士を介入させて、証拠保全手続(民事訴訟法234条)や訴え提起前における照会(同法132条の2)、弁護士会照会等の手続を行い、被疑侵害品に関する情報を至急集めることが大切です。
3.警告状の発送
上述のような手法で集めた情報を分析した結果、被疑侵害品が特許権を侵害しているとの結論に至った場合でも、通常、いきなり民事訴訟や仮処分等の法的手続に出るのではなく、相手方が任意に侵害行為をやめるよう内容証明郵便で警告状を発します。
この警告状の発送、一見すると弁護士がいなくても簡単にできるとお思いになるかもしれません。
しかし、他社製品が自社の特許権を侵害していると考えて、そのことを当該他社の取引先企業に伝えたり、プレスリリースなどで業界全体に知らしめた場合等で、結果的に自社特許権を侵害していなかった場合には、その行為が不正競争防止法2条1項14号の「虚偽事実告知・流布行為」に該当してしまい、逆に損害賠償責任を負ってしまうこともあり得るのです。
このような事態を未然に防止するためには、警告状を発送する前に、警告書の事実的・法律的根拠、また、警告書の内容・配布先の範囲・枚数等の送付行為の態様を十分に検討しなければなりませんので、やはりこの段階から知的財産法に詳しい弁護士に相談しておくことが有用です。
4.まとめ
当事務所には、知的財産法に詳しい弁護士がおりますので、お気軽にご相談下さい。
当事務所は、横浜駅きた東口(地下広場)から徒歩7分のところにあります。
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