こんにちは。
 今回は、改正特定商取引法(訪問購入)に関し、売主たる消費者に対する勧誘している最中における、訪問購入業者に対する規制内容を概観したいと思います。

1.不実告知等の禁止

 購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結について消費者を勧誘するに際しては、以下に挙げている事項について、不実のこと(客観的事実と異なること)を告げる行為、又は、故意に事実を告げない行為をしてはなりません。

① 物品の種類、性能、品質等
② 物品の購入価格
③ 物品の代金の支払時期及び方法
④ 物品の引渡時期及び引渡し方法
⑤ 売買契約の申込みの撤回又は解除(クーリング・オフを含む)に関する事項
⑥ 物品の引渡しの拒絶(58条の15)に関する事項
⑦ 消費者が売買契約の締結を必要とする事情に関する事項
⑧ ①から⑦に掲げる事項のほか、売買契約に関する事項であって、消費者等の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

2.威迫・困惑の禁止

 購入業者は、売主たる消費者に売買契約を締結させるため、威迫して困惑させることは禁止されています。
 1及び2の各禁止行為を行った場合、違反行為を行った購入業者は、懲役・罰金、行政処分(指示、業務停止)の対象となるため、注意が必要です。

3.その他消費者トラブルとなり得る勧誘行為の規制

 上記1及び2以外の場合にも、購入業者が訪問購入に係る売買契約締結等の場面で、以下の各行為を行った場合、罰金、行政処分(指示、業務停止)の対象となります。

① 売買契約に基づく債務又は売買契約の解除によって生じる債務の履行を拒否又は遅延すること
② 売買契約の申込みの撤回又は解除を妨げるため、売買契約に関する事項であって消費者の判断に影響を及ぼす重要事項について、故意に事実を告げないこと
③ 売買契約の締結について売主たる消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘等を行うこと
④ 老人等の判断力の不足に乗じて売買契約締結等をさせること
⑤ 消費者の知識・経験に照らし不適当と認められる勧誘を行うこと
⑥ 売買契約締結に際し、年齢、職業等につき虚偽の記載をさせること
⑦ 勧誘のため、消費者の進路に立ちふさがり、又はつきまとうこと

 このように、訪問購入に係る売買契約の勧誘中の場面でも、購入業者に対しては、不実の告知をはじめとする様々な規制がかかることになるため、規制事項の内容・範囲等について、事前によく把握しておく必要があると言えるでしょう。
 次回も引き続き、訪問購入の規制内容について検討したいと思います。