こんにちは。
 前回のブログ(平成25年5月8日付)に引き続き、改正特定商取引法(訪問購入)についてお話しします。

 平成25年2月に施行された改正特定商取引法(以下、「改正特商法」といいます。)では、訪問販売など消費者トラブルが生じやすい6つの取引類型に加えて、新たに、「訪問購入」の類型を追加し、「訪問購入」に関する行政規制、刑事罰、民事ルールを定めることにしました。
 この訪問購入に関する規制の概要は、以下のとおりです。

1.規制対象となる商品

 当初は貴金属を規制対象として検討されていましたが、最終的に、「政令で別途定める物品(自動車、家電、家具等)以外の物品全て」が規制対象とされました。
 非常に広範囲な規制となっているため、注意が必要です。

2.訪問購入業者に対する不当な勧誘行為の規制

 購入業者は、訪問購入の各段階に応じて、主に以下の義務を課せられることになります。

⑴ 勧誘前

① 事前に、事業者名・勧誘目的等を明示する義務
② 勧誘の要請をしていない売主に対する勧誘等の禁止
③ 売主に対し、勧誘を受ける意思があるか否かの確認義務

⑵ 勧誘開始段階

 売買契約を締結しない旨明示した売主に対する再勧誘の禁止等

⑶ 勧誘中

① 物品の品質等につき、不実のことを告げる行為の禁止
② 物品の品質等につき、重要な事項を告げない行為の禁止
③ 勧誘の際に威迫、困惑させる行為の禁止等

⑷ 契約締結時等

 一定事項(物品の種類、価格等)を記載した書面を売主に交付する義務

3.訪問購入における売主(消費者)によるクーリング・オフ

 特商法の中心的な制度と言えるクーリング・オフ制度が、訪問購入においても採用されています。

 すなわち、訪問購入に係る売買契約の申込みや売買契約の締結が行われた場合であっても、売主である消費者は、改正特商法に定める書面(法定書面といいます。)を受領した日から起算して8日以内であれば、理由の如何を問わず、書面により、申込みの撤回や売買契約の解除をすることができます。
 かかる消費者のクーリング・オフ権行使の実効性を高めるため、購入業者について、損害賠償請求等の制限や各種規制・義務が課されています。

4.第三者への物品の引渡しに関する売主への通知

 購入業者が、クーリング・オフ期間中に第三者へ購入物品を引き渡した場合、売主の求めの有無に関わらず、第三者に物品を引き渡した旨、その他省令で定める事項について、売主に通知を行うこととされています。

5.物品を引き渡す際の第三者への通知

 購入業者が、クーリング・オフ期間中に第三者へ物品を引き渡す際、物品がクーリング・オフされた、又は、される可能性があることを第三者に書面で通知を行うこととされています。

 ということで、今回は訪問購入の規制の概要についてお話ししました。
 次回以降、各規制の内容について、掘り下げて検討したいと思います。