皆様こんにちは。弁護士の菊田です。

 本日は、前回に引き続き、消費者契約法の話をしていこうと思います。

 消費者契約法(以下「法」といいます。)上、契約の効力に影響を及ぼしうるものの1つとして、契約内容を問題とするのではなく、契約締結段階における事業者の行為を原因とするものがあります。法4条にその旨の規定があり、大きく分けて、①不適切な情報提供行為及び②不適切な勧誘行為を問題にしています。

 ①は、法4条1項及び2項に定められており、条文上、(a)重要事項について事実と異なることを告げた場合、(b)不確実な事項について断定的判断を提供した場合、(c)重要事項又は当該重要事項に関連する事項について消費者の利益となる旨を告げ、かつ、消費者の不利益となる事実を故意に告げなかった場合の3類型が掲げられています。これらの行為によって、消費者が誤認をし、契約を締結した場合、当該契約は取り消すことができます。

具体例としては

(a)については、有名な画家Aの絵画であると説明し、消費者がこれを決め手として購入したものの、実際には名もない画家Bの絵画であった場合

(b)については、株式取引において「将来絶対株価が上がる」との旨を説明したような場合

(c)であれば、見晴らしの良さをアピールしたマンションの売買契約において、事業者が、近日中に同マンションの近くに高層ビルを建てる計画があり、景色が台無しになる可能性が高いにもかからず、同計画を消費者に対し説明しなかった場合

などがあたります。

 事業者の側としては、せっかく締結した契約を、上記のような事由を原因として取り消されてしまうことは避けたいところです。そのため、事業者の側としては、契約締結前に、上記のような事由について、デメリットについてはしっかりと説明する、メリットについても不確定要素であれば断定的な説明はしない、等の配慮をする必要があります。また、口頭での説明のみでは、言った言わないの争いになって、紛争が泥沼化するおそれが生じるので、書面を残して、説明したという証拠を作っておく必要があります。なお、説明をどこまで尽くし、どこまで書面に残すべきか、といった点については、弁護士にご相談されることをお勧め致します。

 次回は、②不適切な勧誘行為についてお話します。