こんにちは。
今回は、更新料不払いを原因とする賃貸借契約の解除の可否についてお話ししようと思います。
更新料特約が有効である場合、更新料の支払いは賃借人の義務となるため、これを怠ることは、賃借人の債務不履行となります。
東京地判昭和57年10月20日も、更新料は賃料の一部たる実質を有するとしたうえで、かかる実質からすると、更新料支払義務は賃借人の重要な債務であるから、解除原因とするに足りる債務不履行に当たるとしています。
ただし、賃料不払いによる解除の場合に信頼関係の破綻が必要になるのと同様に、更新料不払いによる解除の場合にも、信頼関係が破綻していることが必要となります。
そのため、更新料不払いの事情だけでは信頼関係が破綻したとまでは認めがたい場合には、その他の事情(賃料や雑費の不払い、用法遵守義務違反等)とあいまって信頼関係が破綻したと認められる場合に、はじめて解除が認められることになります。更新料不払いだけで契約を解除することは、相当にハードルが高いと考えておいた方がよいでしょう。
以上、更新料について色々とお話ししましたが、今までのお話をまとめると、以下のようになります。
① 更新料は、賃料の補充・前払、あるいは賃貸借契約継続のための対価等の複合的な性格を有するもの。
② 更新料を請求するためには、賃貸借契約において更新料特約を定める必要がある。
③ 特約を定めれば全て有効というわけではなく、消費者契約法10条との関係で、金額や更新期間等に照らし高額に過ぎないことが必要となる。最高裁判例によれば、一般的な更新料特約(更新期間2年で、賃料1~2ヵ月分を更新料として支払う場合)は、高額に過ぎることはないと認定される可能性が高い。
④ 更新料特約が、合意更新の場合のみならず法定更新の場合にも適用されるかについて、裁判例上は判断が分かれている。
⑤ 更新料特約が有効の場合、その不払いは賃借人の債務不履行となるが、賃貸人が契約を解除するためには、更新料不払い、あるいは更新料不払いとその他の事情があいまって、信頼関係が破綻したと認められることが必要となる。