今回は、前回に引き続いて、特定商取引法について、電話勧誘販売の取引行為に関する規制をテーマにお話ししようと思います。
 (前回の記事はこちら:外国における電話勧誘販売の規制

 例えば、以前断ったにもかかわらず、同じ業者から商品購入の勧誘の電話がかかってくる、というような場合、その業者の行為は特定商取引法の「継続勧誘・再勧誘の禁止」という規制に違反しています。

 特定商取引法17条は、「事業者は、電話勧誘販売の契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、その契約の締結について勧誘をしてはならない」と定めています。

 まず、その趣旨は、電話が不意打ち的にかかってきて出るまで相手がわからないものであるため消費者が電話に出ざるを得ないこと、一旦事業者がセールストークを始めると消費者としては電話を切りにくいこと、事業者が電話をかけることは容易であること等の理由から、事業者が電話で執拗な勧誘を行い消費者の生活を妨害することを防止し、消費者の生活を守ることにあります。

 次に、要件についてですが、まず「契約を締結しない旨の意思表示」をしたことが必要です。この意思表示は、勧誘に対して「いりません」「関心がありません」「お断りします」「結構です」など明示的に意思表示した場合だけでなく、応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど黙示的に契約を締結しない旨の意思表示をしたと考えられる場合も含まれます。また、「もう電話はしないでください」「話をしたくない」と言った場合も黙示的な意思表示になると解されています。

 次に、「勧誘をしてはならない」とは、電話での会話中に「いりません」と言われたのに、電話を切らずに勧誘し続けること(継続勧誘)と、一旦電話を切って、改めて電話をかけて勧誘をすること(再勧誘)の両方を禁止する意味です。

 なお、トラブルの実態からみると、電話勧誘を断った後に、電話勧誘販売以外の方法で勧誘を行うこともありますが、このような行為も禁止されていると考えるべきです。例えば、電話勧誘を断った消費者に対して、後で、事業者が「登録確認書」や「通告書」をダイレクトメールで送りつけ、これを見た消費者が事業者に確認または訂正の電話をかけてきたところでまた勧誘するというような行為も禁止されると考えられます。

 最後に、事業者が本条に違反した場合ですが、主務大臣の指示または業務停止命令の対象となっています(法22条、23条)。
 電話勧誘販売を行っている事業者は、上記行為規制に違反した行為が行われていないか、十分にご注意ください。

弁護士 堀真知子