こんにちは。
今日は、分譲マンションとペットの問題についてお話したいと思います。
まず、分譲マンションを購入してペット飼いたいと思っても、そのマンションの規約によってペットの飼育が禁止されている場合には、ペットを飼うことはできません。
規約とは、マンションのように1つの建物を区分して複数の人が所有する区分所有建物において、建物・敷地・附属施設の管理と使用に関して、区分された部分を所有している人=区分所有者によって自主的に定められるルールです。
規約違反者に対しては、裁判によらずに行為の停止を請求したり、裁判によって行為の差止請求、使用禁止請求、競売請求をしたり、規約に定められていれば違約金を請求したりすることが考えられます。
分譲マンションのような区分所有建物で、新たに規約を作るには、区分所有者の集会で、区分所有者の頭数と議決権の両方の各4分の3以上の多数決が必要とされています(区分所有法31条1項前段)。
この集会決議に加えて、規約の設定が、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その特別の影響を受ける区分所有者の承諾を得なければなりません(区分所有法31条1項後段)。
では、それまでペットの飼育が禁止されていなかったマンションで、規約を作ってペットの飼育を禁止することは、この「特別の影響」に当たるのでしょうか。
この問題について、東京高裁平成6年8月4日判決は、
「・・・ペット等の動物の飼育は、飼い主の生活を豊かにする意味はあるとしても、飼い主の生活・生存に不可欠というものではない。そもそも、何をペットとして愛玩するかは飼い主の主観により極めて多様であり、・・・・動物である以上は、その行動、生態、習性などが他の入居者に対し不快感を招くなどの影響を及ぼすおそれがあること等の事情を考慮すれば、動物飼育の全面禁止の原則を規定しておいて、例外的措置については管理組合総会の議決により個別的に対応することは合理的な対処の方法というべきである」
として、規約を改正してペット飼育を禁止しても、特段の事情がない限り、「特別の影響」には当たらないとしました。
したがって、規約を改正してペットの飼育を禁止する場合であっても、ペット飼育者の承諾は不要ということになります。
ペットを飼育している人、動物の嫌いな人、人によって、評価が大きく異なる判決でしょうね。