こんにちは。
 今日も前回に引き続き、会社の整理解雇についてお話したいと思います。

 前回までに「整理解雇の4要件」のうち、

① 人員削減の必要性が存在すること
② 解雇を回避するための努力が尽くされていること
③ 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること

 までお話しましたので、今日は4つ目の
 ④ 事前に説明・協議義務を尽くしたこと
 の要件についてお話したいと思います。

 これは、使用者は、労働組合や労働者に対して、整理解雇の必要性とその内容(時期・規模・方法)及び解雇に対する補償内容などについて納得を得るために説明を行い、誠意をもって協議すべき信義則上の義務を負う(労働契約法4条1項参照)ということです。

 労働組合との間で、解雇協議約款または同意約款が締結されることがよくありますが、協議約款・同意約款がない場合であっても、過半数組合に対しては、同意を得るために十分な説明をし、協議を尽くすべきであると考えられます。

 また、少数派組合であっても、全く説明や協議をしなかった場合は、手続的瑕疵になり得ると考えます。
 従業員に対しても、朝礼や文書などで解雇理由を周知・説明しておく必要があるでしょう。

 業務上の必要性が高いと判断される場合には、一部の説明・協議手続が欠けていても整理解雇を有効と考えるのが、今日の裁判例の傾向であるとは言われていますが、具体的な事案の解決では使用者に対して厳しい判決がみられるとの意見もありますので、会社としては、十分な説明・協議義務を尽くしておく必要があると考えられます。