1 消費者契約法とは

 消費者契約法は、平成13年4月1日に施行された法律であり、主にBtoCの取引において、様々な規制を定めています。

 典型的な詐欺的手法による取引から個人を守っている一方で、消費者契約法は幅広く規制しており、個人との契約を締結する際には同法の適用を念頭に置かなければならない場面があります。

2 消費者契約法の適用範囲

 消費者契約法は「消費者」と「事業者」との間における契約(以下「消費者契約」といいます。)に適用があります。

 「消費者」とは、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く個人をいうものとされています。また、この場合の「事業」とは、社会生活上の地位に基づいて一定の目的をもって反復継続的になされる行為及びその総体をいうとされており、単純に営利か非営利かという違いではありません。

 「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる個人をいいます。法人でありさえすれば、事業者とされるため、こちらの場合も単純に営利か非営利かという区別によって、適用を免れることはできません。

3 消費者保護の方法

 消費者契約法は、①意思表示の瑕疵、②契約内容の適正化(不当条項の無効)という、大きく分けて2つの方法で消費者を保護しています。

 ①は契約成立の締結過程(成立前)における保護であり、②は契約成立後の保護ということになります。
 契約書のレビューなどにおいては、①の場面はどのようにして契約を締結するかといった問題ですので、条文等にすることは困難ですが、②の場合、せっかく成立した契約も無効となるおそれがありますので、注意しなければなりません。

4 契約成立後の保護について

 消費者契約法は、不当条項の無効として、①免責条項の無効、②損害賠償の予定条項の無効、③消費者の利益を一方的に害する条項の無効を定めています。

 ①の例としては、事業者の債務不履行・不法行為による損害賠償義務の全部ないし一部を免除する条項や瑕疵担保責任の全部を免責する条項も原則として無効とされています。
 したがって、契約書に、「事業者は○○について、一切責任を負わない。」などとさだめていたとしても、無効になるおそれがあり、必ずしも責任を逃れられるとは限りません。

 ②の場合は、解除にともなう損害賠償を予定しても、平均的な損害を超える部分について無効となります。
 平均的な損害とは何かという点については、一義的に明らかではありませんので、訴訟等においても良く争われているようです。

 次回は、平均的な損害についての裁判例や③の消費者の利益を一方的に害する条項についてご説明したいと思います。