弁護士 片山雅也

 

先日より、事業譲渡の活用による事業再生スキームについてご説明してきましが、今回は最後に、民事再生手続とともに、事業譲渡を活用するメリットについてお伝えしたいと思います。

 

そもそも、会社の経営が悪化した場合に、その経営が悪化した会社だけで民事再生を利用する方法で再生を図れば足りるのではないかといった疑問も生じると思います。

 

そこで、その経営が悪化した会社だけで民事再生を図る単体再生よりも、事業譲渡の活用を図った方がメリットがあることをお伝えしようと思います。

 

(1) 単体再生の場合

まず、単体再生を狙った場合、単体再生を狙うと、当初の予定通りに収益を確保できずに、当初策定した民事再生計画案通り返済を実行することに困難を伴うことが多いと思います。

 

実情としても、民事再生を申し立てた場合でも、半数近くが民事再生を失敗しています。

 

とりわけ、単体再生となると、長期プランで返済計画を作り上げていくため、途中で資金繰りが追いつかなくなってしまい、失敗してしまうといったケースが多いようです。

 

そして、民事再生計画案通りに返済が実行できない場合、民事再生手続は廃止され、破産手続に移行してしまうことになります。

 

そこで、支援者がいるような場合には、民事再生手続に事業譲渡を活用する手段が考えられることになります。

 

(2) 事業譲渡活用の場合

まず、民事再生手続とともに、優良事業を外部に譲渡することによって、優良事業の破産を回避することができます。

 

また、事業譲渡代金を主たる財源として、債権者に対する一括弁済や短期の分割弁済を実行することができるため、事業譲渡代金が多少低かったとしても、債権者の理解を得やすい傾向にあります。

債権者からすれば、将来にわたる分割返済の合計額を現在価値に引き直した金額、すなわち事業譲渡代金で一括して返済を受けることができ、事業譲渡代金が多少割安であったとしても、将来の不安定要素を排除して、早期かつ確実に弁済を受けるメリットは少なくないといえます。

 

そのため、事業譲渡代金が多少低かったとしても、事業譲渡を実行して、その対価を主たる財源として、債権者に対する一括弁済等を実行して、債権者を満足させ、会社自体は清算するといった形で、終了することが考えられます。

 

更に、優良事業については、外部に譲渡することによって、新たな社名で事業を継続することができ、倒産会社といった悪いイメージを払拭することができるというメリットもあると思います。

 

以上