弁護士 金 崎 浩 之


1 ペット共生型賃貸
 従来の賃貸借契約書のひな型では、決まり文句のように「ペット不可」とする条項が入っていますよね。実は、私もペットを飼っており、現在、2人(男の子と女の子)のチワワが家族の一員になっております。だから、私にとっても、「ペット不可」はとても困ります(笑)。

 ところが、最近不景気だという事情もあり、ペットの飼育も可能とする賃貸借契約を結ぶケースが増えているようです。空室率を下げるためにはやむを得ないということかもしれません。

 さて、ペットを飼っている人が入居者となる場合に伴う特有の問題点って何でしょうか。

 実は、住居者同士のトラブルなんですね。

 ペットを飼っているんだから、ペットを飼っている他の入居者に対しても理解があるのかというと、そうでもなさそうです。自分の可愛いペットはともかく、他人の飼っているペットの鳴き声は気になり、入居者同士のトラブルに発展することが少なくないようです。自分の子供は可愛くても、他人の子は別ということなんですかね(笑)。
 また、マナーの悪い入居者に至っては、共有通路やロビー、エレベーター付近で、自分のペットがうんちやおしっこをしても、ちゃんと始末しない人がいるようです。他人のペットのうんちやおしっこは怒るのにねえ…。私が今住んでいるマンションもペットの飼育は許されていますが、エレベーターの中に、「ちゃんとおしっこやうんちを片付けましょう」なんて書いてある貼り紙がありました。うちのマンションにもそういう人がたぶんいるんだと思います。

2 定期借家活用事例
 さて、このような入居者トラブルに鑑みて、定期借家契約を積極的に活用して「ペット専用マンション」の管理に成功している会社があります。
 福岡市にある楢崎不動産では、「ペット共生型マンション・アパート」を管理・運営しているようです。しかも、この「ペット共生型」では、ペットの飼育が入居条件となっているからすごい!

 定期借家契約を利用すれば、入居者トラブルの原因となる、マナーのない入居者を期間の満了とともに退去させることができます。その結果、良質の入居者が残り、問題のある入居者が減っていくので、近隣トラブルもぐっと減りますよね。楢崎不動産の例では、98%の稼働率を誇る人気物件となっているそうです。

 ちなみに、入居者間のトラブルが予想されるこの事例では、定期借家契約を利用しなくても、問題のある入居者を退去させることは可能です。
 なぜならば、通常の賃貸借契約においても、「他の入居者に迷惑をかけない」ことを義務づける条項が入っているので契約違反として解除することができるし、また、仮にそのような条項がなかったとしても程度によっては信頼関係の破壊を理由に契約を解除する方法がありえます。
 したがって、更新拒絶が難しいという通常の賃貸借契約の問題点はここでは直接関係がありません。

 しかし、問題のある入居者というのは、おいそれと自分の非を認めたがらないものです。

 契約を解除してもその有効性を争い、訴訟に発展してしまうケースもすくなくありませんでした。そして、今度は裁判の場で入居者同士の水掛け論が激しく展開されることになります。
 家主さんや管理会社からすれば、このような訴訟騒ぎ自体が大きなリスクですから、この「訴訟リスク」に対するヘッジ対策として定期借家契約は活躍してくれそうです。

 う~ん、やっぱりこれも弁護士泣かせだなあ…。