皆様、こんにちは。

1 イントロ

 確定申告の締め切りが迫ってまいりました。税金額は誰がどのようにして決めているものなのでしょうか。

2 納税義務確定の方法

(1) 申告納税方式

 これは納付すべき税額を納税者の申告によって確定することを原則とする方式です。申告がない場合、あるいは申告が誤っている場合に限り税務署等が更生又は決定により税額を確定する方式です(国税通則法16条1項1号)。納税者は申告義務を負っています。

 日本では国税の多く(法人税、所得税、相続税等)でこの方式が採用されています。

(2) 賦課課税方式

 税務署等が納付すべき税額を処分によって確定させる方式です。こちらは各個人が確定申告のように申告義務を負うものではなく、行政庁(国や地方公共団体)が調査しなければならないことになります(実際には税務署等から資料の提出を求められると思われます。)。

 なお、これは欧州発祥の方式で、戦前の日本では当該方式が中心に据えられていましたが、調査コストの点がネックになって上記のとおり国税のほとんどが申告納税方式に変更されたようです。

(3) 自動確定方式

 納税義務の成立と同時に納税額が法律によって定められる方式です。日本では、源泉徴収による国税、自動車重量税、印紙税、登録免許税等が当該方式によって定められております(国税通則法15条3項)。課税の標準や税額の算定が簡単であることが採用の理由といわれています。

3 申告後の手続等

(1)

 確定申告とは、申告納税方式における納税者の申告の部分にあたるわけですが、この手続の特徴は納税者が第一次的に納付すべき税額を判断することが出来る点です。国から一方的に決定される他の方式に比べれば民主的といえます。

(2)

もっとも、国としても税金の回収をしなければならないので、確定申告を促さなければなりません。そこで、申告をしなかった場合のペナルティとして無申告加算税が設けられております。納税額については国の法で決定処分(国税通則法25条)を下して決めてしまいます。申告額が本来の金額より過小であった場合には更正決定(同法24条)が下されます。

 しかし、課税額を決定するにしても調査が必要となるのですが、必ずしも資料がそろうとは限りません。帳簿等をきちんと保管していない場合もあり、結局、推計課税という形で納税額を推計することがあります。推計の場合は、推測の額であるので実際より納税額が高くなる可能性がありえます。そこで、青色申告の場合は帳簿類に基づいた正確な確定申告を促すために、納税額の更正を推計によって行うことはできないとしています(所得税法155条1項)。

(3)

 納税者自身で納税額が本来より少ない額、または多い額で申告してしまったことに気づいた場合はどうでしょうか。

 ご存じのように、申告額が過小である場合には修正申告を自ら行うことができます(国税通則法19条)。また、申告額が実際よりも過大であった場合には、自ら税務署長に対して更正の請求をすることになります(同法23条1項)。

 この二つの手続の違いは、修正申告には期限はありませんが、更正の請求は申告期限から1年以内までという締め切りがある点が特徴的です。この1年の締め切りとは別に、当初申告した時に前提となっていた事実と異なる事実が確定した場合(例えば、判決が確定した場合)、確定した翌日から2ヶ月以内までであれば更正の請求ができますが、いずれにしてもスピード勝負となりそうです。

 後手に回ると加算税や更正の請求の締め切り問題が出てしまうということで、当然ではありますが国は確定申告に基づく納税額を確実に回収することを欲していることがよくわかります。確定申告は早めに取りかかるべきであるのはさることながら、焦らず期限内にきちんと作り上げることが大切ですね。

 今回もお付き合いいただきありがとうございました。