1 入管実務

 外国人の入国管理実務は、以前は弁護士の仕事でしたが、現在は、多くの行政書士がこの分野に関与するようになりました。
 最近では、弁護士よりもむしろ行政書士のほうが多いのではないかというくらいです。

 ところが、行政書士によるこの入管実務において、今深刻な問題が起こっているようです。

 報道によれば、入国管理局に虚偽の申請をして外国人の不法就労や偽装結婚に荷担する行政書士が増えているというのです(2010年3月2日付毎日新聞夕刊)。
 そこで、警視庁が東京都や東京入国管理局と連絡会議を作って、そのような行政書士に対する監視を強化する体制を築くなどという騒ぎになっております。
 近時、離婚などの民事事件にも行政書士が関与するようなケースも増え、非弁行為という弁護士法違反の問題も取り沙汰されるようになっておりますが、経営難に陥っているのか、それともモラルの低下なのか、いわゆるサムライ業が警視庁の監視下に置かれなければならないなんて前代未聞です。

2 行政書士の広告

 前記毎日新聞の記事によると、東京や新宿歌舞伎町で売られている中国人・台湾人向けの新聞には、行政書士の広告が目立つようになってきたようです。

 ところで、その広告の記載例がすごいんです。これも毎日新聞の記事を参考にしておりますが、例えば、「黒転白(特別在留許可)」とか「不法滞在的結婚手続」なんていう記載もあるようです。
 最初の「黒転白」は、日本在住の中国人の間に使用されるスラングで、「違法状態を合法にする」という意味だそうです(前掲毎日新聞)。黒を白と言いくるめるわけですから、日本人の私たちにも分かりやすい表現ですね。
 「不法滞在的結婚手続」という掲載もすごいですよね。思い切り偽装結婚のお手伝いをにおわせます。
 最近、弁護士の広告も増えてきましたが、ここまで露骨なものは…。

 弁護士の世界でこんな広告を出したら、即、弁護士会に取り締まられますよ。場合によっては懲戒もんです。
 行政書士が中心に手がけている分野だけに、この分野はちょっと目が離せませんね。