最近、雪が降るなど寒い日が続いておりますね。インフルエンザのほかに、ウィルス性胃腸炎なども流行ってきているみたいなので、風邪など引かないように気をつけてください。
さて、最近、法制審議会で受動喫煙を防止するための措置を企業に義務付けるようにするための法改正を考えているなどといったニュースを目にしました。労働安全衛生法の改正により規定が盛り込まれていくことになると思われます。そこで、今回は、労働法の中でもあまり知られていないが、事業者にとっては重要な労働安全衛生法のさわりを見ていきたいと思います。
以前は、労働基準法の「第5章 安全及び衛生」項目の中で安全衛生については規定されていました。しかし、高度経済成長の過程において労働災害は増加し、安全衛生について充実させた規定をも蹴る必要が生じました。そこで、労働基準法では労働安全衛生法に委任するとともにその他の規定を削除し、労働安全衛生法が制定されました。この法律は、前置きに書きましたとおり、社会事情などを反映させ、頻繁に改正され、規制内容を充実するとともに多様化させてきています。
労安法は、「労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」を目的としています(1条)。このうち「労働災害」とは、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」(2条1号)をいいます。
本法律が適用される「労働者」は、労働基準法にいう労働者と同じです(2条2号)が、主体は「使用者」ではなく、「事業者」(「事業を行うもので、労働者を使用するもの」(2条3号))とされています。このように、「使用者」ではなく「事業者」とされるのは、「事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体として捉え、その安全衛生上の責任を明確にしたもの」(昭47・9・18基発91号)であるということだそうです。要は、安全衛生の確保は、現場管理者等の責務であることは当然ですが、それに留まらず、事業者自身にも責任があることを明確にしたということです。ですから、事業所ごと、現場ごと、部署ごとに安全衛生管理を任せていても、それがいわゆる管理職者であっても、事業者自身が責任を免れることはないので注意しましょう。
まず、どのように安全衛生管理を行っていくかということですが、厚生労働大臣が中央労働基準審議会の意見を聞いて、労働災害の防止に関する重要事項を定めた計画を策定し、公表します(6条乃至9条)ので、これをもとに管理体制を気づいていくことになります。平成20年3月19日に公表されたものについては、以下に記載されていますのでご参照ください。
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei21/index.html)
また、具体的にどのような管理体制を築くかについて、10条以下で事業所の規模や業種に応じて様々に定めています。ご確認ください。
今回は、ざっと、導入的な説明になってしまいましたが、今後も機会がありましたら続きの説明をしていきたいと思います。
弁護士 松木隆佳