あけましておめでとうございます。

また新しい年を迎えました。・・・ということは、また1つ年をとるということです・・・。
新年最初のブログ当番なので、ちょっと、企業法務とは離れてしまいますが、「年をとる」ということを法的に考えてみようと思います。

「年齢計算ニ関スル法律」という法律があります。
その名のとおり、年齢の計算方法について規定した法律で、たった3条だけの法律です。
この法律では、年齢計算については、民法の初日不算入の原則の例外として、出生の日から年齢を起算することを定めています。また民法143条に従って年齢計算することが規定されています。

で、民法143条2項本文は「週,月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は最後の週,月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。」と規定しています。
つまり、厳密に考えると、法律的には誕生日当日に1つ年をとるわけではなく誕生日の前日の午後12時(=誕生日の午前0時)に1つ加齢するわけです。

4月1日生まれの子どもと4月2日生まれの子どもは、1学年違ってしまう理由も、これで分かります。
学校教育法では、保護者は、子どもが「満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」子を就学させる義務を負うものと規定しています。
4月1日生まれの子どもが法律上「満6歳」に達する日というのは、誕生日の前日(3月31日)です。そしてその「翌日」というのは4月1日です。
「以後」には当日も含まれ、かつ、「学年の初め」は4月1日ですから、「4月1日以後の最初の学年の初め」=当年4月1日ということになるわけです。
ところが4月2日生まれの子どもの場合には、法律上6歳になる日は4月1日で、その翌日が4月2日なので、4月2日以後における最初の学年の初め=翌年4月1日ということになってしまい、翌年入学=1学年違ってしまうわけです。

学年の話は割と有名だから皆さんご存じかもしれませんが、他にもこんな話があります。
昨年実施された定額給付金ですが、基準日2009年2月1日時点で「65歳以上の者及び18歳以下の者」には8,000円が加算されました。
この場合、1990年2月2日生まれの人は、法律上は、2009年2月1日時点で1つ加齢して19歳になってしまう為、基準日時点では、「18歳以下」に該当せず、法律的には加算金はもらえないことになります。
当日加齢だったら、ギリギリ加算金が貰えたはずなのに~!!って、ちょっと悔しくないですか?
(もっとも総務省は、このような人たちについても「基準日の大部分を18歳として過ごしている」との理由で、これも「18歳以下の者」に含めるという便宜的な対応をしたという噂があります。真偽の程は分かりませんが。)

いずれにせよ、また1つ年をとることは間違いありませんので、どうせとるなら良い1年にしたいものです。
企業法務とは無関係の内容でしたが、お付き合いありがとうございます。
次回からは、普段の内容に戻しますね。
今年もよろしくお願い致します。

おしまい

弁護士 長谷川 桃