弁護士  金 崎 浩 之


弁護士バー その2

 前回、「弁護士バー その1」で、非弁提携問題と弁護士の品位について取り上げました。

 今回は、とりあえず、弁護士法(非弁提携)と弁護士の品位(弁護士倫理)の問題はクリアされたと仮定した上で、このビジネスモデルが機能するのか、つまり、ビジネスとしての妥当性について、私の意見を述べたいと思います。

 まず、ビジネスモデルとして機能するというためには、このビジネスがそもそも市場で受け入れられて定着する内容のものなのかを吟味する必要があります。
 どうしてビジネスとしての「定着」を問題にするのかというと、今回は弁護士会を巻き込んでの騒ぎになっているので、話題性を呼び、一時的にはお客が殺到する可能性があるからです。
 しかし、法的に問題があるビジネスであるために却って話題性を呼び、結果的に集客につながるというのはある種の皮肉ではありますが、ビジネスとして「まとも」であるとは言えません。
 そもそもビジネスモデル自体に魅力があり、ビジネスとして長期継続可能なものでなければ、本当のビジネスとは言えないでしょう。

 さて、このような観点から、この「弁護士バー」のビジネスモデルを検討した場合、しっかりとした中身のある法律相談をこのバーで実施するのは不可能です。プライバシーも確保できないし、酔った状態での法律相談なので、法律相談の質は推して知るべしです。加えて、弁護士も酔っている可能性があります。まさか、お客様からお酒を勧められているのに、「法律相談がありますので、お酒は飲めません」では場がしらけてしまいますが、基本的に弁護士はお酒を勧められても飲むべきではありません。そうでないと、まともな法的アドバイスを行えないからです。

 そうすると、この弁護士バーで実施可能なのは、世間話に毛が生えた気軽な法律相談(はっきり言って、弁護士にとってもお客にとっても、どうでもいい話)しかできないのではないでしょうか。

 また、この「法律相談」をどこまでこのバーのコア・サービスとして位置づけるかも問題です。
 もし法律相談がコアとなってしまうと、法律相談を主目的としたお客が集まってくるはずです。そうすると、予想される客数の法律相談が対応可能なように弁護士の人数もそろえる必要があります。「弁護士バーに行っては見たものの、相談するのに1時間も待たされた」なんていうことになると、お客の信頼を損ないます。
 でも、主目的はお酒で、法律相談はあくまでも「おまけ」であるならば事情は変わってきます。しかし、そうなると、「弁護士バー」は誇大広告ですね。私の友人弁護士で飲み屋を経営している人がいますが、それと何が違うのかという気がします。

 このように考えると、弁護士が受任するに値するまともな事件の相談が、果たしてこの弁護士バーにどれくらい寄せられるのか甚だ疑問です。
 「おもしろい」ということで一時的に話題を呼ぶ可能性はありますが、ビジネスとして長続きしないと見ています。