1 学校のレポート提出

 今日の日経新聞朝刊の11面に興味深い記事を見つけました。

 「1年半かけ社会人の自覚」という大きな見出しが出てました。

 同紙によると、サントリーの販売子会社であるサントリー・フーズが、新入社員のために18ヶ月にも及ぶ長期新人研修制度を導入したとあります。
 しかも、この研修、入社前から始まっているようなんです。

 ある新人さんは、内定式が終わった昨年の10月から研修がスタートしています。今年の4月入社の新人だと思われますので、昨年の10月というとまだ学生さんですよね。
 入社前なのでおそらく給与は支払われていないと推測されますので、入社前からこのような研修を実施してよいのかどうかという労基法上の問題はともかく、驚くのは研修の内容なんです。
 この入社前に実施された研修の内容は、その入社予定の新人さんが、サークル活動や学業について会社からレポート課題が与えられ、そのレポートを毎月会社に提出するというものです。これじゃ、まるで会社は学校の先生です。

2 社会人の自覚

 サントリー・フーズは何でこんな研修を始めたのでしょうか。

 同紙の伝えるところによると、「ゆとり世代」と呼ばれる今時の新入社員は、厳しい受験戦争にさらされておらず、「目標達成意識が弱い」とか…。
 そして、入社後に社内のOJTについて行けるようにするためには、入社前から社会人としての自覚を醸成するための研修が必要だということのようです。

 でも、何でレポート提出なんでしょう?
 ここからがおもしろいんです。同社の人事部によると、レポートの内容はそれほど重要なわけではなく、①毎月締切を守ること、②他人に読ませる文章や言葉遣いを訓練すること、にあるそうです。

 いや~、驚きました。こんなことまで会社が面倒を見なければいけない時代なんですね。
 不景気で就職難だとか、内定取り消しは不当とか文句言う前に、会社が欲しがるような人材になるべく、せめて社会人になるにあたっての基礎的訓練くらい自分でやっておいてもらいたいですよね。

 顧客満足が重視されるこの時代に、唯一顧客満足が軽視されている市場が労働市場です。
 そもそも会社で働く人にとって、給与を支払ってくれる会社は「大事なお客様」なはずです。そのお客様である会社をどうやって喜ばせればよいかを考えることは、働く人の最低限の義務ですよ。今、労働者に必要なことは、顧客満足度を高められるような人材になるにはどうすればいいか、を考えることです。

 どんなに景気が悪くなろうが、リストラの嵐が吹こうが、本当に会社にとって必要な人材は切られませんからね。学生さんには全員経営学を必修科目にして、「顧客満足」を真剣に考えてもらいたいです。