1 ブックメーカーとは

 ブックメーカーとは、ギャンブルの顧客(プレイヤー)に対して、掛け率を提示して顧客の投票を募り、勝者に配当を行う賭け屋さんのことです。
 胴元に近い存在ですが、厳密には違います。例えば、日本の賭博では、胴元、すなわち、親の持ち回りで配当が異なりますが、欧米ではそのようなものは好まれません。
 欧米には、このようなブックメーカーが多数存在するようですが、国によってその仕組みは違います。
 イギリスでは免許制になっていて、政府から免許を取得すればブックメーカーになれます。アメリカの場合は、あのラスベガスがあるネバダ州と一部の地域でギャンブルが合法化されているだけで、それ以外の地域では現在も非合法のようです。
 シンガポール、カナダのように公営のブックメーカーのみ許されている国もあります。

 このブックメーカーの何が問題なのかというと、インターネットを通じて、日本にいながらにして、ブックメーカーが主催するギャンブルに参加できてしまうことです。実際に、「ブックメーカー」という検索キーワードで調べると、これに関連するサイトが無数に出てきます。参加の方法を支援するようなサイトも見られます。
 確かに、これらのブックメーカーは、諸外国では合法化されておりますが、日本の政府が公認しているわけではありまん。そのようなギャンブルに、日本人が日本国内から参加して、本当に賭博罪にならないのでしょうか。

2 賭博罪に該当する可能性が高い

 結論から言うと、いくら外国の政府が公認しているギャンブルだからと言って、日本人がインターネットを通じてこれに参加する行為は、賭博罪に該当する可能性が高いと考えてよいでしょう。
 したがって、これを支援するようようなサイトは、賭博の幇助に該当する可能性が高いと思われますので、サイトの運営者は注意が必要です。

 理由ですが、今日の国際社会は、それぞれの国に自治権が広く認められている分権社会です。自治権とは、国の統治に関する自治権です。
 条約などを通じて、国際的に統一的な法規範を作ろうという動きでもない限り、如何なる行為を犯罪とするかは、各国の自治に委ねられています。
 したがって、ある国の政府が公認している合法なギャンブルだからといって、日本でも合法になるわけではありません。

 インターネットが普及する以前は、例えばラスベガスのカジノでギャンブルをしたければ、渡米してそこでギャンブルをしていたと思います。
 ところが、インターネットの普及により、日本にいながらにして、外国で合法化されているギャンブルに参加できてしまうという新たな問題を提起しました。
 外国政府が公認しているからといって、日本からこれらのギャンブルへの参加を許してしまうと、国内の賭博を取り締まる意味がなくなってしまいますので、日本の捜査当局もこれを放置するわけにはいかないと思います。

 しかし、インターネットを通じて、しかも外国に存在するブックメーカー主催の賭博ですから、警察もこれを捜査するのは困難を極めると思われます。外国で合法とされているブックメーカーが日本の警察の捜査に協力するとは思えませんし…。
 しかし、だからといって、決して日本では合法なわけではなく、犯罪として検挙されても文句は言えない、そのことだけは十分注意してこのビジネスに関与する覚悟が必要です。