1 事件の概要
愛知県内の8市町村がつくった海部地区環境事業組合が、ごみ焼却炉の競争入札を行ったところ、三菱重工が落札しました。
そこで、同組合は、落札した三菱重工と契約を締結したわけですが、同組合によると、三菱重工の落札価格は、談合により不当につりあげられた価格であると……。
したがって、公正な競争を前提とした価格との差額相当分の損害を被ったというのが同組合の言い分です。
同組合は、1998年6月に指名競争入札を実施し、7社が入札に参加したそうです。
そして、三菱重工は、落札率99.56%に当たる249億9000万円で落札したということです。
同組合は、三菱重工を相手に、公正な競争を前提とした価格と同社の落札価格の差額として、約24億6000万円の損害賠償の支払いを求め訴訟を提起しました。
2 名古屋地裁、三菱重工に約20億円の賠償命令
名古屋地裁は、同組合の主張を認め、三菱重工に約20億円の賠償を命ずる判決を下しました。
裁判所が認定した重要な事項を整理すると以下の通りです(2009年8月8日日経新聞朝刊を参考)。
・三菱重工は、ほかの業者との競争を意識せず、自社利益を最大限にした入札価格を設定した。
・組合は、釣りあげられた価格を前提に契約しており、公正な競争を前提とした価格との差額相当分の損害を被った。
※差額相当分を契約額の8%と見積もった。
なお、三菱重工がこの判決を不服として控訴するかどうかは現時点では不明です。