民事再生法が2000年4月に施行され、今年の4月で9年が経過しました。
 この9年間で、民事再生法がどのように活躍してきたかを見ていきたいと思います。

 まず、この9年間の申立件数は、7098件でした。
 うち、再生計画の認可決定が下りたのは4828件で68%です。
 したがって、32%については、認可決定が下りていないことになります。

 次に、認可決定後、再生手続きの終結決定が下りた件数は3012件で、42.4%になります。
 ここで注意しなければならないのは、再生債務者の弁済が無事終了して終結決定がなされているわけではない、ということです。

 監督委員が選任されているケース(東京では全件監督委員が選任されています)において、監督委員の負担を軽減するために、認可決定から3年が経過すると、弁済途中であっても、裁判所が終結決定をします。「3年間ちゃんと弁済を継続できたのだから、その先も大丈夫だろう」ということで、監督委員を3年間で手続きから解放しているわけです。

 したがって、42.4%が終結決定を受けたということは、何とか3年間無事に弁済を継続できた再生企業が42.4%あるということになります。決して、弁済を完了したという意味ではありません。

 逆に認可決定を受けたにもかかわらず、終結決定まで至らなかった再生債務者の数は、1816件です。認可決定を受けた再生債務者のうち、約38%(小数点以下四捨五入)が終結決定まで至らなかったことになります。

 ということは、認可決定を受けた再生債務者のうちの約38%が、3年間の弁済を無事に遂行することができなかった、すなわち、3年以内に挫折したことになります。これらの再生債務者については、破産手続に移行したものと思われます。

 申立をしたにもかかわらず認可決定が下りなかった2270件と、認可決定は下りたが3年以内で弁済が頓挫して終結まで至らなかった1816件をあわせると、4086件に達します。

 そうすると、申立件数7098件のうち、約58%(小数点以下四捨五入)が再生に失敗していることになります。この数字は馬鹿になりませんね。申し立てられた再生事件のうち、60%近くが失敗事例なのです。

 もちろん、それ以外の再生債務者、すなわち、何とか3年間の弁済は乗り切り、無事終結決定をもらった企業のすべてが、再建に成功しているわけではありません。終結後、数年以内に再び倒産する企業もめずらしくないそうです。

 そうすると、60%近くは、3年以内に再建失敗が明白となり、それ以外の再生債務者は、延命しているに過ぎないとも評価できます。
 癌の5年生存率ではありませんが、病気にたとえると癌に匹敵するくらい、再生債務者は重い病気にかかっているといえるかもしれません。