ブーメラン・ファンドという新しいタイプの不動産担保融資をご紹介したいと思います。

 中小企業が銀行から融資を受ける場合、社長さんの連帯保証を求められるのは当然として、自宅を所有している場合、その自宅を担保に取られる場合があります。借金を返済できなければ、いずれ銀行から競売を申し立てられ、自宅は売却されてしまいます。

 このような際に、希にですが、社長さんのご友人か誰かにその自宅を落札、要するに競売手続きの中で購入してもらい、そのご友人に賃料を支払うという方法で、従前通り自宅で生活を継続する、そして、社長さんの資力が回復した暁には、その不動産をご友人から買い戻すという合意を取っておく、といったスキームがうまくいくことがあります。このスキームだと、自宅の所有権は失ってしまいますが、愛着のある住み慣れた家で生活が続けられます。しかも、今後の経済状態の改善しだいでは、その家を取り戻すことも夢ではないわけです。

 しかし、このスキームが成功するかどうかは、かなり偶然に左右されます。なぜならば、このスキームでは、この社長さんのために、そこまで協力してくれる人がいることが前提となっているからです。また、そのご友人に協力の意思があっても、能力(すなわち、資力)がなければ実現しません。したがって、こればかりは弁護士の力量ではどうすることもできず、社長さんの人間関係にかかっています。

 ところが、最近、このスキームを商品化しているファンド会社も出てきたようです。つまり、その社長さんが所有する不動産をファンドが買い取り、その後、優先的にその社長さんに買い戻させる権利を与えるという内容です。失った自宅が戻ってくるので、”ブーメラン”と呼ばれているそうです。詳細は、そのような商品を取り扱っているファンド会社に内容を確認してもらいたいのですが、自宅を担保に取られている社長さんにとって、知って損はない情報です。