ある日、突然、労働組合から、団体交渉の申し入れがされたらどのように対応すればよいでしょうか。自分の会社には労働組合がないと言って安心してはいられません。社外の合同労組から団体交渉を申し入れられることもあります。
団体交渉は、対応を間違えると労使関係が不必要にこじれますので、慎重に対応する必要があります。今回は、このような場合の初期対応の仕方を紹介します。
まず、団体交渉の申し入れが届いたら、まったく交渉を拒否することは得策ではありません。使用者は、団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことはできません(労働組合法7条)し、誠意をもって団体交渉に当たらなければならない義務があります(東京地判平成14年9月22日労判548号64頁)。これに違反した場合は、不当労働行為として、労働委員会に申し立てをされる可能性があります。
一方で、労働組合の主張を丸のみするべきではありませんし、慌てて行動することも得策ではありません。十分な準備をする必要があります。
団体交渉の申し入れには、団体交渉の日時場所が指定されていますが、それに従う必要はありません。使用者には、準備のために合理的な時間を必要とします。そこで、回答に時間的猶予を求める旨の回答書を出すべきでしょう。
また、交渉の議題が抽象的であったり、はっきりしなかったりする場合は、これを具体的にするよう求めるべきです。
そして、団体交渉のルールを設定した方がよいと考えられます。
①団体交渉の場所については、公的施設等を借りるのがよいと考えられます。使用者の施設や組合の施設だと交渉が延々と続く可能性があるからです。
②交渉の時間は、2時間程度に区切るのがよいと考えられます。
③時間帯は、就業時間外にするのがよいと考えられます。就業時間内であれば業務に支障がでることもあるからです。
④出席者の人数には制限をかけるべきであると考えられます。大人数を引き連れて圧力をかけられても困るからです。
⑤録音やビデオ録画には、応じる必要はありません。