介護事故防止のためには、組織の基盤づくりや従業員の研修といった方策がありますが、定期的に施設の安全性確認を行うことも有効です。そこで、施設の安全性確認の際のポイントについてお話しします。
法令や各都道府県の指針を満たしているか
1つ目のポイントは、法令や各都道府県の指針を満たしているかという点です。介護施設に関しては介護事故防止のため、法令や指針にて多種の設置基準等が定められています。当然、開設時には法令や各指針の基準を満たしているはずですが、実際に介護施設を利用していくうちに、施設が法令の基準を満たさなくなることがあります。例えば、便利だからと廊下に棚等を置いてしまい、通路幅の基準を満たさなくなっていることなどはよく見受けられるところです。したがって定期的に各規程を見直し、基準を満たしているか確認することが必要です。
利用者の具体的な様態を踏まえたうえで安全確認を行っているか
2つ目のポイントは、具体的な入居者の様態を踏まえたうえで安全確認を行っているかという点です。施設自体の安全性にはそれほど問題がなくとも、利用者の具体的な様態を考慮すると危険があるとして、介護事故発生時に施設側の義務違反が認められることがあります。したがって、現在の利用者の具体的な状況に応じて、どこに危険が潜んでいるかを職員で検討し、定期的に安全性の確認を行うことが有効であると考えられます。日々の業務でヒヤリハット報告書のようなものを作成しておき、それを定期的に確認することも有効でしょう。
安全確認及び改善の結果をしっかりと記録しておくこと
3つ目のポイントは、安全確認及び改善の結果をしっかりと記録しておくことです。過去の裁判例においては、事故防止のため措置をとったか否かを、介護施設の責任を考慮する際の判断基準の一つとしたものがあります。定期的に施設の安全性確認を実施し、その結果を記録しておけば、それ自体が介護事故防止のための措置として評価され得るものになります。したがって、安全確認を行った場合は、確認内容及び改善結果を記録に残しておくべきです。
以上のようなポイントを踏まえた安全性確認を自社で行うのは、法令や裁判例等の知識がなく困難な場合もありますので、専門家に安全性調査の依頼することもご検討下さい。