川崎市で、当時中学生の男子生徒が殺害された件について、昨日、A・B・Cの3人の少年が起訴されました。
 3人は、平成27年2月20日、川崎市内の河川敷において、男子生徒にカッターナイフ等で攻撃を加えたことについて、少年Aが殺人罪、少年Bと少年Cは傷害致死罪、共謀共同正犯の関係として起訴されたようです。

 3人で同時に男子生徒を攻撃したにもかかわらず、少年Aと少年B・Cとで起訴罪名が異なるのはなぜでしょうか。
 これは、殺人罪は「殺意のある攻撃」、傷害致死罪が「殺意の無い攻撃」によって人を死なせたことにより成立することによるものです。検察官の判断では、少年Aの攻撃は殺意のあるものだが、少年B・Cの攻撃は殺意の無いものとされたのでしょう。

 さらにもう一点ポイントがあります。
 3人の関係が「共謀」共同正犯だということです。

 共謀共同正犯とは、「共犯」の一種です(「共犯」の類型には、ほかに、実行共同正犯、教唆犯、幇助犯があります。)。
 2人以上で犯罪について共謀し、そのうち少なくとも1人でも犯罪を実行した場合において、実行行為をしていない者も、実行行為をした者の共同正犯とするということです。

 今回の件に即していうと、仮に、3人が、男子生徒に攻撃を加える前の段階で、「男子生徒を殺害する」ということについて共謀していれば、実際に殺意のある攻撃を加えたのが少年Aひとりだけであっても、少年B・Cも殺人罪に問われたということです。
 しかし、少年B・Cが問われたのは「傷害致死罪」ですから、3人が共謀したことの範囲は、「男子生徒を殺さないが、男子生徒に対して攻撃をする」ことだったのだろうとうかがわれます。

 今回の件は、少年犯罪ではありますが、家裁から検察官に逆送決定があったことから、少年審判等の少年保護手続ではなく成人と同じ刑事訴訟手続によることとなります。そして、殺人罪も傷害致死罪も裁判員裁判対象事件ですから、本件は裁判員裁判による手続きが行われるものと考えられます。